砂とアイリス 4(西村 しのぶ)


発掘をこよなく愛する研究者の卵・長瀬なぎさ。精力的に仕事に励む中、大学時代の先輩・梶谷との関係は親しさを増していき──。恋も仕事も一生懸命の発掘ライフ、第4巻。

・・・3年ぶりの新刊。 まいどまいど西村しのぶの新刊が出ると、それがひさかたぶりのことでありますんで前のを読み返すという、そうじゃないと話の筋なんてすっかり忘れちゃってるもんだからという、妙なスパイラル。

でも今回は読み返さなかった。 書庫の奥の方にあるので寒いこの時期は書庫に赴くズクがないのであり、正直言って、この「砂とアイリス」はテーマが発掘という、知らない人には全く響かないものを扱っているので、読み返したところでどうにもならんと思ったのもそうですし、(これまで)何度読み直しても人物相関がよくわかんなかったのもありまして。

そういう「素」の状態で読みますと不思議なもので、私の脳はあれこれと吸い込んでいく。 あぁそうか、この男の人はこうで、この男の人はこうで、この男の人はこうで、この男の人はこうで、この男の人はこうで、この男の人はこうで、この男の人はこうで、この男の人はこうで、この男の人はこうで、永野は同級生なのか、と。 俺の永野は主人公の同級生なのか、と。 だ。

このブログ的にはマンガを取り扱うことが少なく、特に今売のマンガともなると、つい数年前に追いきれなくなった谷川史子を除くと、もう西村しのぶしか残っていないんだよ、予約してまで買うマンガががg…。

でもまぁいい。 西村しのぶだけはもう30年以上も追いかけてるもんで、このままずっと追いかけるのであろうよ。

談志が死んだ(立川 談四楼)


その死は弟子たちにも伏せられていた。立川談志、享年七十五。この不世出の落語家に入門したのは十八歳の春だった。それから四十年近く惚れ抜いた師匠から突然の破門宣告。「てめえなんざクビだ」。全身が震えた。怒りの理由が分らない。振り回され、腹を立て、やがて気づいた。大変だ。壊れてるんだ、師匠は――。偉大な師匠(おやじ)の光と影を古弟子(せがれ)が虚実皮膜の間に描き尽す傑作長篇小説。

談志そのものよりも彼のお弟子さんが好きでして。 というか、談志のお弟子さんにくらべると本人はどうなのかな、って思ってしまう本末転倒ぶりな私ではあります。

だとすれば、お弟子さんが書いたお師匠の話はおもしろくないはずがない。 それにしても破天荒なおじいさんであります。 小説向きの人だ。

考証・江戸を歩く(稲垣 史生)


辰巳芸者の深川、忠臣蔵の本所、文人が集う花の向島-。時代考証の第一人者が活写する、大江戸・隅田川両岸図絵! 江戸への郷愁がつまった一冊。時事通信社88年刊の再刊。

アマゾンのレビューに、氏は時事通信社刊をと注文したのだが届いたのは隅田川文庫のそれだった、というのが記されているけど、私が読んだのは河出文庫であり、おそらくはどれも同じ内容だろうけど、よくもまぁいろんなとこに引っ越しするもんだ。

引っ越しといえば今私は長野県におるけど、そもそもは東京の生まれで、東京の足立区の、環七の梅島陸橋のかかるあたりの生まれで、一番近い街は(北)千住で、その次は上野か浅草か、という城北の田舎者ではありました。 がそのかわり、こういう本の内容はなかなかにわかるもので、こんなに情緒よく散策なんかしませんでしたけど、そこそこに歩いたことはあります。 っていうくらいなのでもう何十年も前の話ではありますが、少なくともこの本が時事通信社から刊行されるより前のことで、懐かしく読んだのであります。

もう長野にきて20年になります。 さすがに今の東京なんざわからないけど、それはそれでいいんですよね。 ときたま昔の東京をこうやって本で読むことでじゅうぶんだ、と。

私説・沖田総司(三好 徹)


新選組随一の美太夫とうたわれながら、非情の人斬りとして生きねばならなかった若者の人間像に迫る表題作など、幕末維新史を揺るがせた暗殺事件の真相を推理し歴史の謎に挑む傑作4篇

これまで三好徹という作家を知らずに、ひょんとしたことで手にとったこの本を皮切りにあれこれを漁ってはいるのだけれど、どうにも新書屋にも古書屋にも在庫がなくやきもきしているのはありますが、逆を返せばそれだけこれまで読んだものがどれも良かったということになるのであり。

Wikipediaによると、

「子母沢寛『新撰組始末記』を読んで坂本龍馬暗殺に興味を持ち、これを推理小説仕立てにした「龍馬暗殺異聞」を直木賞受賞第一作として発表」

とあり、そもそもは推理作家なのだそうだけど、そもそもは推理小説に仕立てた歴史物が出発点だったのだそうで。

なお、この本に収録されている4篇とはすなわち

  • 私説・沖田総司
  • 人斬り彦斎
  • 暗殺始末
  • 参議暗殺

であり、暗殺しまくりである。 どれも読み応えがあり、なんといってもダイナミクスというのでしょうか、高揚感があるんですよ読んでて。 泣けちゃうんですよ。

なにしろ三好徹の時代物は制覇しようと思ってるんです。

 

天皇はどこから来たか(長部 日出雄)


日本の古代史像を一変させた青森・三内丸山遺跡。この発見が一人の作家を衝き動かした。諏訪大社の御柱に「縄文巨木文化」の面影を見ることから始まった旅は、神々の原郷を歩き、史実と神話の間に想像を広げるうち、思いもよらぬ結論に導かれる――大胆な仮説と意表を突く想定を縦横に展開し、「天皇」の誕生、そしてこの国の成り立ちという史上最大の謎を解き明かす衝撃の試論!

ということで古事記を読んで、その後に読んだのがこれ。 読み進めて困った。 日本書紀も読んでおけばよかった。 「記紀」っていうんですね、初めてしった単語だもの。

私は著者のことを知らず、今であってもこれ以外のは読んでいないのですが、これを読み進めててなんとなくトンデモ臭がしてきたんです。 一人称がころころ変わって読みづらいし、「天皇はどこから来たか」わかんないし。

しかしながら杞憂でありました。 「天皇はどこから来たか」という題を忘れてしまえばいいんです。 日本のはじまりの頃について書かれたエッセーなんですよこれ。 そう思うと大変興味深く読めるんです。

となると「天皇はどこから来たか」という題はそもそもなんでなんだ?ってことになるんですが、平成も終わる今日このごろ、私にとっては「天皇はどこへ行くのか」って話でもあるんですなぁ。