1960年代の東京 路面電車の走る水の都の記憶(池田信)

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変貌する町と消えゆく風景を写し撮った傑作写真集が復活!

ワシントンハイツ、渋谷川、同潤会アパート、淀橋浄水場、戦災復興マーケット、仁丹塔、お化け煙突……失われた風景の数々から、懐かしいあの時代があざやかに甦る。東京オリンピック前後の変わりゆく町を丹念に記録した名著が新装版で登場。60年代東京の貴重なドキュメントといえる一冊です。

「眺めるたびに写真の景色のなかに吸いこまれていくような心地になる」(泉麻人・新装版解説より)

【解説】松山巖「池田信の危機意識とその帰趨」
【新装版解説】泉麻人「消えた風景 残った風景」

【本書に登場する町】
日本橋/兜町/箱崎町/人形町/京橋/銀座/筑地/明石町/佃島/月島/新橋/芝/三田/白金/赤坂/青山/六本木/麻布/目黒/品川/大森/田園調布/三軒茶屋/等々力/和泉/渋谷/代々木/表参道/初台/千駄ヶ谷/新宿/飯田橋/神楽坂/早稲田/本郷/小石川/池袋/板橋/王子/上野/浅草/千住/柴又/神田/丸の内/日比谷/有楽町/永田町

残念ながら読んだのは新装版ではないので、新装版解説は読んでいませんし新装版になったことで新装版解説以外のなにがあるのかないのかは一切わかりません。 けれども、そういうことはどうでもいいことなのかもしれないっていうくらい巻末にある松山巖の解説に心を打たれました。 それは池田信が残した膨大な写真と少しばかりの貴重な言葉、そしてそれに対する現在(それはオリンピック後でもあり、はたまた解説の示す2010年代よりちょっと前)の状況・・・惨状ともいうべきか・・・に改めて衝撃を受けて書かれた解説に衝撃を受けたのであり、衝撃の多重構造がたいへんに興味深いところではありますけれども。

そもそも首都高が生まれた頃からあった・・・いや、私が生まれたところから一番近い6号三郷線はまだなかったけれども・・・身としては、皇居のお堀の上には高速道路があるもんだし、神田川の上には高速道路があるもんだしで、先程の三郷線の話でいえば綾瀬川の上(実際には脇)に高速道路が通ったとしても、特段珍しい光景じゃない話であります。 余談ですが中央環状線も昔はなくて、

昔ここいらにあって当時既に廃校だった朝鮮学校も、高速道路越しに見ることはなかった。 土手から見る首都高越しの光景でこれなんですから、もっと都心のお堀だ川だの上に架けられたり、そもそも水源を埋め戻して(マイクラか!)敷設された高速道路は、その用を足すにはよかろうもんですけど、環境問題とか住人問題とか予想できる問題を孕みつつ突き進んだ事もあって、今や惨状だと言えなくもないのでしょう。

なので「高速道路が通る前と後を知ってる」末席を汚す私としては、この写真集はたいへんに興味深く読了しました。 山谷堀とかね、初めてみました写真。

解説もいいし、写真もいい。 いい事ずくめの1冊です。

2022.06.24 追記:【公開】「橋桁撤去され、青空が」 “日本橋”首都高地下化工事が進む 2040年ごろ完了見通し