Smokey Robinson の音楽的ベクトルについてはなかったけれど、他に一つだけ誤解していたことがありました。 今だから謝りますが、Smokey Robinson が Micracles を脱退する理由は Motown の副社長としての仕事に専念するため「だけ」ではなかったんですね。 家族思いの一面も垣間見せていたのね。
ですからまぁ Miracles 在籍時の音源はさておいて、脱退後のソロ活動ってなんなんだよって思ったことがあるんです。 少なくとも Smokey Robinson 脱退後の Miracles が思いの外洗練され生まれ変わったことに溜飲を下げるところはあったものの、そういうこったでソロ作品はいつか聴けばいいかなーって思うにとどめていたんです。
そしたら A Quiet Storm つまり本作までのソロ作品の初期 3 枚は借金してでも聴けって言われちゃったもんですから慌てて聴いたんです。 先に誤解を陳謝しましたが、今度はソロ作品を聴かなかったことに猛省する日々であります。
"Sensuous and pensive, quiet storm is seductive R&B, marked by jazz flourishes, 'smooth grooves,' and tasteful lyrics about intimate subjects. As disco gave way to the 'urban contemporary' format at the outset of the 1980s, quiet storm expanded beyond radio to emerge as a broad catchall super-genre."
- https://en.wikipedia.org/wiki/Quiet_storm#Characteristics
と、一つのジャンルを作るに至ったくらいの傑作が 1975 年リリースの本作です。 曲間を文字通り Quiet Storm の SE で繋ぐという小粋な構成はもちろんですが、全体がロマンチックでメロウなソウルで覆われており、またこれはソロ 1 作目の Smoky から踏襲されているスタイルではあるんですけれども、ここで結実した感があります(余談ですがその前作までのソロ初期 2 枚はセールス的に不振だったのだそうな。 とてもいい内容なのに)。
ちなみに私はこのひとのライブが今ひとつ好きになれない。 この時代で言えば 1978 年リリースの Smokin' がそのライブ盤なんですが、どうしても私は Smokey Robinson をしてスタジオ録音盤の繊細さに評価を与えたいところです。