Atlantic Starr (Atlantic Starr)

Atlantic Starr というと「Always」(1987 年) で、だいたいが 80 年代のヒットソングベスト的なコンピには必ず収録されているっていう「必殺曲」として挙げざるを得ないわけでして、その印象があまりにも強いかわりにかえって私のような(ポップスを俯瞰するうえでの)一般リスナーにはそれ以外の活動があんまりわからないという相反する評価となってしまうのでありました。 そもそもボーカルが(Always を歌った)Barbara Weathers だけではなく、その前に何枚もアルバムを出した Sharon Bryant というボーカルさんがいたり、その後はもうとっかえひっかえだったようでもありまして、一定しない不安感が感じられるところでもあります。 ちなみにメンバーの中に Lewis という姓の方が 3 人いらっしゃって、なんと 3 兄弟なのだそうで。 ちなみに(ちなみすぎ)「Always」の作詞作曲は 3 兄弟のなかのおふたりなのだそう。

所属するレコード会社もワーナーだけではなくて、その前はなんと A&M だったり(肝いりっぽい雰囲気がある)、その後はあっちいったりこっちいったり・・・女性ボーカルの変遷からしてもロス・インディオスっぽい(ロス・インディオスがレーベルをあちこち渡り歩いたのかどうかは知りませんけれども)非常に偏った印象が私にはありますが、最大のヒットにより代表的なボーカリストに祭り上げられている Barbara Weathers は A&M の最後のアルバムと、A&M での最初のアルバムにしか在籍しておらず、なんともまぁ、なんともまぁです。

A&M ~ Warner という頃がちょうど悪しき 80 年代ソウルの真っ只中ということもあり、ドラムマシンの印象しかない(グルーヴを別とした)平坦な音楽というこれまた偏った聴き方しかできない都合上、A&M からデビューした頃っていうのはどういうもんなんだろうと最初に聴いてみたのがバンド名を冠した 1978 年リリースのこれなのでした。 で、これがいいんですよ。

ちなみにこの後、アーバンに日和った(個人的感想)サウンドに移行していくので過渡期的な作品にいいものもあるものの、こう、1st では R&B と言われないような、ソウル/ファンク臭っていうんでしょうかグルーヴキメキメの黒汁溢れる内容となっておりまーす。 そりゃそうだ、天下の A&M から出すんですから、それなりに突き抜けたものがなくちゃですよね。

そうはいってもこの人たちの 80 年代ソウルについては、癪に障る曲がないでもないものの、全般的に抑えて作っているという印象が強いです。 もうなんというかミネアポリスサウンドとかになってたら絶対に聴かなかったでありましょう。 なのでボーカルが変わってもレコード会社が変わっても(とはいえ Warner までしか知りませんが)、安定した音楽なんですよね。 ソウルはいいねぇ。

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