沖田総司 六月は真紅の薔薇(三好徹)

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以前に同じ著者による「私説・沖田総司」を読み、沖田総司についてだけの上下巻があるというのであちこちで探してやっとこさ読了。 ちなみにその過程で「土方歳三 戦士の賦」も揃ってしまったので続けて読破。

九歳で試衛館道場に入門、十九歳で代稽古を務め、浪士隊応募から新選組結成へ。幕末の京にあって、殺戮の嵐の中に身を投じて行く若き天才剣士沖田総司の、近藤勇との師弟関係、土方歳三、山南敬助らとの心の交流を軸に、死が日常的であった時代の青春をいきいきと描く。

薄命の人おあいとの淡い恋、尊攘派浪士たちとの死闘、そして池田屋襲撃、喀血………。戊辰戦争での敗退へと続く新選組の興亡の中に、繊細かつリアルなタッチで描き出された美剣士沖田総司の二十五年の短い生涯と、激流の時代に生きた人間の哀しみを見つめた幕末青春時代小説の佳篇。

沖田総司は剣士であり、土方歳三は戦士だと思いました。 前者は剣に生きようとして儚く散ってしまう。 剣に「生きた」とは言いづらく、志半ばで(時代と)病で倒れてしまい、いったいにその青春は何に生きられたのかと、悔いの残りすぎる人生ではなかったかと思うんですよね。

美剣士ってやめてくんねぇか、とは思うけど。

なんといっても戦後までは悪役とされていた新選組。 その時代の中でも子母澤寛による新選組三部作によって後世の時代物の作品に大きな影響と資料を与えたところではありますけれど、そもそも悪役ってなんだよって話では今の今となっては思うところ。

ではありますけど、最初は時代の流れに乗ってえらいことになるも、一度坂道を下り始めるとこれまた極端に落ちてしまう。 その儚さが時代小説にはぴったりなんですよね。