Far East! Far Out! (V.A.)

コンピレーションはストリーミング向きではない。 というか前にも書きましたけどプレイリストがすなわちストリーミングなので、ストリーミングサービスにコンピを入れるのが必要なのかどうなのかっていう話はさておくも、意外にないっていうのも事実。 この Far East! Far Out! という超絶コンピも CD 売りでしかない(し、アマゾンの CD 以外のリンクがめちゃくちゃっていうのは問題ですらあります)。

これまた前に書いたもので、レゲエの作品はアルバムで出されることはまれでシングル出すのだってどうこうっていうのがありましたけど、それは別段レゲエに限ったことではなく、あれだけ流行ったという日本の Bosstown Sound ことグループサウンド(違うわ!)にも言えること。 そういうのをすくい上げるのがこういうコンピレーションの役割の中でももっとも重要な事柄なのではないかと私は思っています。 っていうか単に好きなんですよコンピ。

題名のとおり極東サイケのコンピレーションであるこのボックスは、日本はまぁそうなんですけど、香港、シンガポール、インドあたりのコッテコテのバンドサウンドが・・・もう食べきれませんー!っていうくらいに・・・収録されております。 さすがに海外のバンドは数えるくらいしか知るものがなかったんですけど、どれも濃いんですよね。 っていうか「なんならファズかけとく?」的な安易なサウンドプロダクションが失禁しそうになるくらいに愛おしいです。 偏愛ここに極まれり。

冒頭で書きましたとおり、今やこういうコンピはストリーミングサービスのプレイリストで再現できちゃうものなのでしょう。 けれども、そこからすらも漏れちゃうようなウルトラマイナーな楽曲もありましょうし、シングル1枚しか出さなかった、メンバーの割には目立たなかったらしいバンドとか、コンピならではの「旨味」がここにはたくさんあるんですよね。 あと、ジャックス入れてるのは最大の評価を与えたい。

逆に聴いてがっかりしたのが東京ビートルズだったりするのですけれども、上記の意味での掘り出し物はザ・ホワイト・キックスでありました。 寺尾聰も在籍していたというシングル1枚で解散したカルト的なバンドのボーカルは、なんと Tan Tan なのでした。 初めて知った、驚いた。 なんならB面の「愛のことば」を収録してくれればよかったのに。 おぉ、Tan Tan だ!ってわかったのに。

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