なにからなにまで謎の１枚。
カリフォルニア州オレンジで 1969 年に設立された Band ‘N Vocal Mobile Recording Service という、地元のハイスクールや合唱団、オーケストラのために少数プレスをしていたと思しきレーベルから 1970 年にリリースされたこの１枚は、録音の内容からしてピアノやオルガンの弾き語りを一発録りで数ヶ所で行った、あるいは B2 のようにリズムボックスなのかわからない異様に機械っぽいドラムが入っていたり（70 年なのに）、B3 以降のように Jack Long という男性とデュエットしていたり（しかもちょっと音数が多い！けど途中でテープがヨレる）と、これまでに録り貯めたものを寄せ集めた、まさに記念盤の体裁であります。 ちなみに現在、$800 で取引されているそうです。 メガレアですな。
なにしろ情報が少なすぎ。 収録されている楽曲は全てカバーで、おそらくは当時の最新の佳曲を、バンド募集でいうところの「バンドメンバー募集。当方Vo」みたいなやる気はものすごいんだけど独り相撲感がパねぇ、ハイスクールを卒業してあれこれバイトしながら夢を見ていたけど、ちょっとダメかもしれんから記念に隣町の自主制作請負業者に録り貯めたテープを送りましたら、同封の履歴書の写真を流用して目一杯の情報をタイプした紙を白ジャケに貼り付けたものが納品されました・・・みたいな、このセンテンスは全部想像なんですけど、そんな気がしてなりません。
ただこの Joan さん、後々は２年後の 1972 年に Vanda というレーベル（記された所在地を調べたらここだった）からシングルを１枚リリースしているんですよね。 で、そのプロモ盤の裏ジャケにはこう記されています。
Found at the Foundation for the Junior Blind where she had been lost after rejection by the American Trucking Association. Has since devoted her life to singing, pizza, and the maintenanxce of Mt. Rushmore.
https://www.discogs.com/ja/release/11851649-Joni-Brooks-Sing-Us-Another-Song-Ask-Me-For-Tomorrow
この時点で行方不明になってる・・・。 行方不明な人のシングル出してる・・・。 しかもこの Vanda というレーベルはこの１枚しかリリースしていないみたいで、おそらくはジャケットに写ってる人（Jack Goga さん？）のプライベートレーベルだったのかもしれませんね。 ちなみに安価で取引されてます、こっちは。
ということで、アルバムはアルバムでかなりの良盤なんです（YouTube で全曲聴けます！）が、こっちのシングルもなんかすごく良くて、なんならこっちのセッションでもっと録音していなかったのかなっていう話なんですよ。 どっかの怪しげなレーベルが CD 化してくれたらいいのになぁ。 きっと現存しているミントなんて１枚あるかないかくらいなんじゃなかなぁ。