海鳥の眠るホテル

恋人との関係に終止符を打ち、美術モデルのアルバイト先で出会った新垣と新たな関係を築こうとする千佳。新垣と行った廃墟で、何者かの気配を感じ―。認知症を患った妻・君枝の介護に専念すべくデザイナーの職を辞した靖史。君枝から目が離せなくなった靖史は…。人里離れた廃墟と化したホテルに棲む、記憶を失った男。ある朝、ホテルに一眼レフカメラを持った女性を見つけ、撮影を続ける彼女の後を追う。三人の記憶と現実が交差してひとつのファインダーに収まったとき、世界は、見事な反転を見せる。寂寥とした筆致が沁みわたる、ホラー・サスペンス。

現代小説に分けられる手の小説を読むのは何年かぶりだと過去ログを探ったら、3年前に読んだ「完全なる首長竜の日」以来であったという。 要するに乾緑郎以来の乾緑郎な現代小説というわけで、どいだけ読んでないんだよって話であります。 逆に乾緑郎の時代小説・・・というか忍び物は・・・正直、読んでない。 普段時代小説ばっかり読んでいる反動が乾緑郎で満たしているのかなぁ。

んなわけねぇだろ。

ということでこれ自体買ったのは去年で、なかなか読めないでいたのを一念発起して読んだって次第でありまして、読み始めたら面白くてその日のうちに読了しちゃった。

ホラーでサスペンスでミステリー。 どちらかというとホラーっていうのは当てはまらないような気がして、それは前にも感じたところでありますけれども、また、作品の内容に触れづらい傾向の小説だっていうのがなんともはやブログで書きづらいってんだよこのやろーw

殺人と速度ゼロ、だったかな。 そんなフレーズがすごく印象に残ったのはもう20年近く前だったろうか。 乾緑郎の作品を読む度に、このフレーズが思い出されるんですよね。 直接的には関係しない場合においても、だ。

アマゾンのレビューですごいのあったけど、そこまでの評価にいたるものなのかなぁって私は心底思ったけどねぇ。 普通に読んでて面白かったし、そのなんていうか文筆手法的な事を考えながら読むのってどうなのかって思うなぁ。 文字を追って、ハマって、読了して、んでいたたまれない気持ちになれば、それでいいじゃないの。