聖女観音大菩薩

巨匠、若松孝二監督が、『愛のコリーダ』(76)の松田英子を主演にメガホンを握った異色官能映画。人間の永遠のテーマである生と死。本当のやさしさとは、思いやりとは、いたわりとは?人々が求めてやまない課題に挑んで、若狭小浜の美しい自然を背景に描くファンタジードラマでもある。不老不死のわが身を嘆き、惜しげもなく男たちに精を吸いとらせる聖母のようなミステリアスな役柄を松田英子が熱演。当時新人の浅野温子も初初しい姿を披露している。

ATG作品だったのかと、おどろく。 そしてDVDがR指定「なし」らしいのにも、おどろく。

ただ、それだけのような気がして。 こう、行き当たりばったり的なストーリー展開はもう伝統芸なので(かえって)評価するにしても、主人公の松田暎子が全くいけてなく、エロスもへったくれも感じさせない素晴らしい演技をしてくれやがり、観終わった後のガッカリ感たるや尋常じゃないです。 蟹江敬三や石橋蓮司なんていういかにも当時な出演者が援護射撃をするも、その前に松田暎子が立っちゃってるもんだから率先して撃たれてるじゃないのさ感がすごいんですよ。 石橋蓮司なんて文字通り「爆死」しちゃってるのによー。

これの前に観た海燕ホテル・ブルーとの関連が言われてますけど、改めてその意味合いで観てみますと・・・ちょっと無理矢理なんじゃないかっていう。 あっちはあっち、こっちはこっちで切り分けて考えないと、共倒れしちゃうような気がするんですよね。

むしろ、若松映画は若松映画以外のなにものでもない孤高の存在だと今一度感じさせる映画でありました。 それが一般向けかどうかは全く別問題なのではありますけれども。