「われに撃つ用意あり READY TO SHOOT

国際都市・新宿で生きる孤高なアウトローの世界を描いた原田芳雄主演のアクション。かつて全共闘闘士だったスナックのマスター・郷田は、警察とヤクザから追われて逃亡しているひとりの外国人女性を匿うが…。

1990年といえば原田芳雄が50歳の時。 1969.10.21は29歳。 役柄的にはもうちょっと若く、40代になったあたりなのでしょう。 確かにこんな格好良くて渋い40代前半がいたら、ぶったたいちゃうぜ?って話であります。

観終わってから知ったのですけれども、これ、若松孝二監督作品なんですね。 すごく安易に言ってしまうとハードボイルドな映画なんでしょう。 しかしながら、こう・・・猥雑な感じが、泥臭い感じが他の映画と違うんですよね。 若松孝二監督作品だからなのかしら。

それとも、原田芳雄、桃井かおり、石橋蓮司という、個性が強すぎて何を演じさせても本人でしかないっていうすごい人達が出演しているからなのかも。 桃井かおりと石橋蓮司なんざ、こないだ観た「あらかじめ失われた恋人たち」じゃないですか。 んで原田芳雄ですもんね。 濃ゆいっていうんですよ、まったくもー。

舞台は新宿で、ずっと新宿で。 この頃の新宿って、私がよく遊びに行った頃なので、なんとも懐かしい。 西新宿のね、あーあの辺ね、みたいな。 すごく身近な感じがするんですよね。 当時は全然思わなかったですけど、こういう・・・国際色豊かな街だったんですねぇ。 そうそう、出演者の皆さんはなにかしら新宿に関係していますなぁ。

もうとにかく原田芳雄がいいんですよね。 これぞ!っていうくらいの。 元々がハードボイルド風味な役者さんなんで、すごく合ってるんですよね・・・・また独身(の設定)だし。 この人って、過去を引きずって辺鄙なところに住み、ひとりもんで、とりあえず灰皿と酒だけはあって・・・みたいな印象があるんですが、今回もそうでしたねぇ。 10.21の頃から全然変わっていないアパートの一室。 ゲバラの写真を見て「いまさらゲバラでもないでしょうに」と以前の彼女(桃井かおり)に言われてしまう始末。 そんな或る意味体たらくな様が、原田芳雄のイメージなんですよね。

ネタバレしちゃって申し訳なんですけど、桃井かおりは撃たれちゃうし、原田芳雄も撃たれちゃうし、われに撃たれる用意あり状態なんですけど、逃げるべく乗った車から桃井かおりが飛び降りちゃうあたりから、このシーンはみものです。 すごくいいんだ。 最後のシーンはコマ劇場前なのかしら。 ゴミの横でね、きゃっきゃしてね・・・。

原田芳雄が好きならば、これは必見だと思うなぁ。