Out of Reach

CANの大失敗作として有名なこのアルバムは、決して失敗作ではないのに。

こないだ書庫を漁ってましたら、売り払ったとばかり思っていた「ジャーマン・ロック集成」が発掘され、思わず熟読してしまったんですけれど、その中でこのアルバムは

ついにシューカイの抜けてしまったCANの最低の作品。かつての音空間からはマジックが全く無くなってしまい、ここにあるのは気のぬけた演奏のみである。唄はメロディに依存し、昔と同じ音が出ると悲しさすら感じる・・・

と評されているんです。

私自身、リアルタイムでCANを好んで聴いてきたのではありませんから、1978年当時にこのような評価があったのかは知りません。 ただ、メンバーはリリース早々に投げ出しちゃったみたいですね。 ただ、ディスコグラフィーから外れちゃったっていうのは明らかに違うでしょ。 それはSpoonレーベルからリリースされなかっただけで、公式作品でもありますし、そもそもSpoonの中のCANのヒストリーページにも記載がありますものね。

ともあれこういう「ジャーマン・ロック集成」での評価のされかたとか、本家からリリースされなかった悲運が勘違いされ(公式作品から外されただなんて)て、勿論メンバーの評価も悪かったんでしょうけれども、現在の「失敗作」の所以なんでしょうなぁ。 私自身、一番最後に買ったオリジナルCANの作品ですもの。

でも、聴いてもらえばわかりますけど、悪くないんですよ全然。 そりゃね、最後の曲はひどいなんてなもんじゃないですけども、それ以外はいいんですよ。 これがダメならその次のラストアルバムだって「失敗作」でしょ。 つーかダモ後は全部「失敗作」と言っちゃってもいいじゃん、ってくらい。

ただ、確かにCANらしくはないです。 その点で言えばアレですけど、それは作品の評価とは違うんじゃないかって思うんですよ。 そもそもCANらしさなんてFuture Daysまでじゃないの?みたいな。

と、そんなこんなでこの作品は、悪くない。 悪くないっていうか、案外いい。 案外いいっていうか、かなりいいんで、もっともっと正当な評価を与えられるべきです。

・・・それにしても私が持ってるのはCDTB025なんですけど、これ海賊盤なのかしら。 あのね、盤起こしらしく、1曲目にスクラッチノイズが入ってるんですよぅぅぅぅぅぅw