時をかける少女

筒井康隆の同名SFジュヴナイル小説を原作に、角川春樹製作・大林宣彦監督のコンビで手がけた青春SF映画の名作。ある土曜日の放課後、実験室でラベンダーのような薬品の匂いをかいだ芳山和子(原田知世)は、それ以来時を往来する奇妙な現象に悩まされていく…。彼女が時をかければかけるほどに、実は時の中に閉じ込められていく皮肉は、その後で大人になった者が己の思春期を永遠に心の中で回顧していく痛切な想いをも表しているかのようでもあり、ここでのファンタジーは時間の残酷さそのものを濃密に描くためのツールとして機能している。若手俳優たちに味のある棒読み台詞を読ませ、一方で日本映画史に名高い名優上原謙と入江たか子を起用して、人生の年輪を痛感させる名シーンを構築。時をかけるシーンでの作り物めいた特撮ショットは、映画内の異世界を強調するとともに、尾道の懐かしき風景の数々は『転校生』と『さびしんぼう』の間に挟まれた“尾道三部作”の1本としても屹立させる。そして何よりも、これが実写映画デビューとなった原田知世の初々しさ! かくして彼女の青春期は、永遠にこの作品の中に刻み込まれることになった。

実際問題観直してみると、時を「かけさせられた」少女である事に気付く。 未来人だかがよっこな事をしたばかりに巻き込まれ、いい迷惑ではないだろうか。

とか考えるのは野暮でありまして、大林宣彦の神と尾美としのりの神が依然降臨しっぱなしなんでありますから、このマストアイテムを観たのです。 確かにこれ、尾道である必要はないですねぇ。

映画そのものはたいして面白くもなく、それよりも特撮が、大林宣彦必殺の特撮が今回もバキーっと炸裂してくれまして、映画に花を添えていますなんだそりゃ。 もう兎に角棒読みの連発でありまして、テンポもへったくれもなく、正直言うと観ていられない程なのではあります。

しかしながらこの映画の見所は本編ではなく、エンドロールなのであります。 なんだそりゃ(爆笑)っていう感じの、近年稀に見ないエンドロールなんですよね。 いやぁこれは一見の価値ありです。 椅子からずり落ちる事まちがいなしです。