双竜伝説-若さま同心徳川竜之助(12)

柳生全九郎から受けた左手の傷もようやく癒え、江戸の町を騒がわす難事件を解決する徳川竜之助の前に、北辰一刀流の遣い手・坂本竜馬が現れる。ひょんなことから戦うはめになった二人だが、竜馬のおおらかさに心打たれた竜之助は、正義の為に風鳴の剣の封印を解くことになる。大好評シリーズ第十二弾!

上のあらすじは物語も終盤、終盤も終盤のところでありまして、延々坂本龍馬が出るのではありません。 ので、そっちに期待すると肩透かしを食らうかも知れないですねぇ。

物語は幕末も幕末。 薩摩だ土佐だのの誰それがどうしたっていう話も出始めてますけど、舞台は江戸ですので比較的のんびり。 主人公が幕府側でばりばりなのでしかたなくそっちの面も出さざるを得ず、もしかしたらそういう空気を全く感じさせることなく物語が成立してたかもしれない・・・などと妄想もできちゃうほど。

本当に風野真知雄作品にはハズレがなく、特にこの若さま同心は一番のできばえなんじゃないかって思うくらいであります。 最初に読むならまずはこれをおすすめしたいなぁ・・・んでその後はもーどれでもいいから沢山読んで!って(笑)

私がこれを一番だと思うのは、なんと言っても情があるっていう部分につきるんですが、こう・・・色々にとくほぐされた話がすこしずつ出て現れて紡ぎ直されていく瞬間を目の当たりにできる嬉しさがあるんです。 数珠の事とか。