ナイン・ソウルズ

鬼丸、を豊丸、に空目したのは本当だども、比較的最近の映画を見ましたのでして。

父親殺しの罪で服役することになった金子(松田龍平)は、獄中で9人の男と出会う。その中のひとり山本(国村隼)は、富士山麓の小学校に大金を隠してあると皆に打ち明けた後、精神錯乱に陥った。残された9人は、偶然見つけた穴から脱獄し、大金を手に入れようとするが……。
『青い春』の豊田利晃監督が同作主演の松田龍平と再びコンビを組んで贈るピカレスク・ロード・ムービーの秀作。9人の痛烈な脱走の旅の中から導かれる、それぞれの魂の再生は激しくも哀切に満ちた情緒が伴い、閉塞的な現代社会の打破をモットーとしてるかのようなこの監督ならではの優れた持ち味として見事に昇華している。原田芳雄を筆頭とする9人のキャスト陣もそれぞれ個性的。また男たちのドラマの中に伊東美咲や松たか子、京野琴美などなど綺麗どころがそれぞれポイント的に華を彩るのも嬉しい限り。

そもそも国村隼をあぁいう扱いにさせ、こともあろうかドラえもんの主題歌をシャウトさせる映画があったかとは、ゆめゆめ思わなかったんでありまして、その点において私にとってのこの映画は、最初の数分で完成してしまった感があったりなかったり。

そもそもは原田芳雄目当てで見たのでした。 まぁ相変わらずの原田芳雄でありましたし、もうこうなったらどんな映画を見ても原田芳雄なんだろうなぁと思ったところでありますが(ちなみに一番の傑作は竜馬暗殺)、映画全般で捉えると、結局なんだったのかよくわからん内容。 説明なんていらないぜ!突っ走るぜロケンロー!みたいな勢いだったのでしょうか、見事に取り残された感じ。

ただ、未散が一馬とチャリに乗るシーンは感じ入るものがあったです。 これは全然思い違いなんでしょうけど、直前のシーンで未散が弟に失望してるんですね。 んでビルから出てチャリに乗ってる一馬が声をかけ、ニケツで街を流すんですが、この時に兄である未散が解放されて一馬の弟になって昇華していくような気持よさがあったんですよ。 あぁ、この瞬間は未散、幸せなんだろうなぁ、って。

映画としてはどうかと思いますけど、物語としては面白かったなぁ、と。