同心 亀無剣之介 きつね火

ちぢれ毛の髷にしょぼくれた顔…亀無剣之介は、その冴えない風貌ととぼけた態度から、周囲に無能と侮られる北町奉行所同心。仕事がつらいとぼやいてばかりだが、その本性は、犯人のほんのわずかな間違いを見逃さない、きわめて頭脳明晰な切れ者であった。ある日、不忍池の横の川に悪名高い金貸しの亡骸があがり、その近くで、商家の若旦那の斬殺死体が見つかる。現場の状況から、辻斬りの仕業かと思われたが、じつは河西慶二郎という用心棒が仕組んだ、巧妙な連続殺人であった。ばらまかれた偽装や罠を見破り、着々と下手人の河西を追いつめる亀無。だが、真相の裏側には、亀無ですら予想できない戦慄と、切ない哀しみが隠されていた…。書下ろし長編時代小説。

同心亀無剣之介シリーズがこんなにも続くとは思いませんでした。 基本的にこの表紙の絵が好きではないので(描かれている方には本当に申し訳なく思うのですが)、あんまり印象の良くない作品となっている今日この頃でもありますし・・・

本来は非常に冴えているけど風貌で損をしている・・・みたいな設定はありがちでありますし、それを超えて風野真知雄ワールドが展開されますが、この風貌で損をしているという部分が、私には風野真知雄作品らしからぬ印象を受けるんです。 別に普通の風貌でいいじゃん、と。

だもんで主人公の発する言葉の全てが卑屈に見えて仕方がなくなっちゃう。 あぁ、内容はとても面白いのに、手放しでお薦めできない。