しびれくらげ

異才・増村保造監督の代表作をDVD化。渥美マリ主演の“軟体動物”シリーズ第2弾。ファッションモデルのみどりは、繊維会社に勤める恋人・宏の口利きでグラビアを華々しく飾っていた。ある日、宏から取引先の重役と一夜を共にしてほしいと頼まれ…。

増村保造なんて監督の作品なんて観たことが無い...って思って調べてみたら、あの梶芽衣子が主演の曽根崎心中も増村保造だったという。 ただ、それ位しか観ていない。

またそれとは全然別に、軟体動物シリーズという最高に怪しい映画があるのを知って、観てみたら増村保造だった、というのもあります。

70年の作品という事で、当時の風俗...オーバーグラウンドじゃない方の...が楽しめます。 ファッションとかもかなりキている。 渥美マリも相当やんちゃでありまして、エロ路線が希薄だったら家族でも楽しめそうな内容...でもないか。

兎に角二言目には「殺しやがれ!」的な極端さが幼稚なのですけれども、それもこれも玉川良一のダメ親父っぷりの秀逸さに因っているんです。 このダメ親父っぷりはかなり評価しなくてはなりませんし、実際に居たらかなり迷惑(実際にこういう人って居るし)。

それはそうとして、この映画の素晴らしいところは「誰も死なない」っていうところ。 自分の父を棒だかなんだかで殴りつけた、っていうエピソードがあるんですけど、それだって普通の映画だったら軽く死んじゃうところなのに、この映画では「ところが死ななかった」っていう徹底ぶり。 人が死なない(こういう系の)映画っていうのはなかなか無いんじゃないでしょうか。 死というものをアクセント的に多用する某バカ映画(B級っていう意味じゃないです)の監督に見せてあげたい位ですよ。

ただ、オチが明るいのはさておくも、全体的にはウィークエンダーの再現フィルム的要素が強いので、あんまりおすすめは出来ません悪しからずであります。