1973 (Placebo)

言うまでもなく Telex 繋がりではありますけど、聴いた順で言えば Placebo のほうが先。

Placebo とは言え、こっちの Placebo をして Placebo だと言う人は少ないかもしれない。 私は聴いたことがないけどイギリスのオルタネイティブ・ロックの同名バンドを言う人が多いかとは思いますし、これまたイギリスのポスト・パンクの同名デュオを言う人はさすがに少ないというかまずいないかとは思いますけど私が最初に聴いた Placebo がこれだったりとか、「言う」というフレーズをなるべく多く入れようとしてもなかなかうまくいかないもんだっていう話。

ジャズ・ロックだとかジャズ・ファンクだとか評されるベルギーの Placebo は、ホーンを交えながらっていうかホーンを前面に立てつつ一つのフレーズをじっくり重ねていきつつ昇華するというパターンが底辺にあって、その上で立ち返ってみると 1st はジャズっぽさが少ないので異質ながらも、2nd では方法論は同じなのに一気にジャズ・ロック化してて驚きもし、更にこの 3rd で発展しちゃうんだからすごい。

この 3rd では、一つのフレーズを執拗に繰り返す方法論がテクノっぽいシーケンサー風味で成立させているところが大変に興味深い。 それをして Telex に結びつけるのはいささか安易かとは思われますが、Marc Moulin の試行錯誤が垣間見られ、且つ、Placebo として聴くに値することは評価に値します。

つべにブリュッセルでのライブがあがっているのでぜひ観てみてほしい。 逆さまの酒瓶が「どうしても映っちゃう」のが笑えるんですけど、演奏がそういうのを凌駕しています。 すごいグルーヴなんですよね。

漆黒のグルーヴとヨーロピアン・ジャズの洗練されたクールさを併せ持ち、70年代に3枚のアルバムを残したベルギー産ジャズ・バンド、プラシーボ。
大胆にエレクトリック楽器を取り入れジャズに軸足を置きながら、ファンク、ソウル、ロックをクロスオーバーするその音楽性は、その後のクラブ/ヒップホップ・シーンにも多大なる影響を与えると同時に、世界中のレア・グルーヴ・コレクターはもとより、時にはその対極にいるとも言えるディープなジャズ・コレクターにとっても垂涎の的となった至極の名盤にして欧州いや世界中のレア・グルーヴ/ジャズ・シーンにおける金字塔『PLACEBO』の全タイトルが遂に遂にオリジナルで世界初CD化!
海外でも話題必須のP-VINE発プロジェクト‼

1973 年発表の第二作「1973」は前作「ボール・オブ・アイズ」のコンセプトを昇華させ、より複雑なコンストラクチャーを持つプログレッシヴ・ジャズ・アルバムに仕上げたムーラン・サウンド全開の名盤だ。
電化マイルスやウェザー・リポートら、本家クロスオーヴァー・ミュージシャン達よりはるかに進んだエレクトリック・ジャズは、混沌とした中に秩序が見え隠れするムーランのアグレッシヴなアレンジが魅力。
M3 の「ファレーネ」は神々しい響きホーンの中に漂うムーランのローズがたまらない! M4「バレク」ではシンセ・ベースの攻撃的なサウンドに乗ったファンキーでメロディアスなホーン・セクションが切れまくっている。
プラシーボの集中力は時にスピリチュアルなほどだ。
M5「ポーク」はファンキーなギターのカッティングとグルーヴィなムーランのエレピ、そしてループされるビートがたまらないプラシーボ・サウンド。
ソリッドかつスリリングなムーランのコンセプトが色濃く反映され、その後のテレックスにもつながる傑作だ!

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