死亡遊戯/死亡の塔

ブルース・リーの特別なファンではない私にとっては、この2作品はほんとうにどうでもよく、観ることはないだろうと高をくくっていたのではありましたけれど、どうにもこうにもがまんならなくなったまま1年ほど経過し、そいじゃぁってことで正月休みの昨日今日とで1作ずつ観たのではありました。

私が申し上げるほどではないと思うんですけど、まさかこれら2作品を知らない人のためにお知らせしますと、ブルース・リーはこれら2作品・・・どころか「燃えよドラゴン」公開時には死去してて、いや「燃えよ」はいいんですけど、こっちの2作品は遺された未公開アクションシーンを利用してでっち上げたものであり、ブルース・リー主演作品とは言えないものなんであります。 もともとは新作用として撮影してあったアクションシーンに全く関わりのないストーリーをくっつけて没後5年にして公開されたのが死亡遊戯。 その2年後、更に未公開となっていたシーンを使ってつくられ公開されたのが死亡の塔。

どちらにせよ重要なのがタン・ロンという韓国出身の役者さんで、ゴールデンハーベスト公認のブルース・リーのそっくりさんとのこと。 この人が死亡遊戯では代役をつとめるんですけど、これがもうすごいことになってて、いちいちブルース・リーじゃねぇだろがぁ!って思わせてくれるところでありまして、更に死亡遊戯のすごいところは、ブルース・リーの過去の映像をつなぎ合わせるだけにとどまらず、その映像の上にタオルをかけたりしてて、動きがちゃんとシンクロしていないから何年か前のおバカFLASHみたいになってるんです。 あまりにひどすぎる。

その点で言えば死亡の塔は開き直っちゃってると申しましょうか、ブルース・リーの登場は最初の30分くらいで(その間にもタン・ロンがひどい代役をこなしてはいる)、結局そこで死んでしまい、弟に託すんですけどその弟がタン・ロンでありまして…という乱暴さ。

これら2作品を原始主義的にブルース・リーを中心に観てしまうと気が狂うんじゃないかと思います。 もう罵倒なんかしちゃって。 ふざけんな!って。 ところどころ回想してしまうブルース・リーの亡霊に悩まされてしまうこと請け合いなんですってば!

でもねぇ、これは純粋に香港B級映画だと割りきってしまえばいいんですよ。 私の場合なんてうっかり死亡の塔から観ちゃったもんですからね、あまりの前衛さにブルース・リーの事をすっかり忘れられたほどですもの。 あーブルース・リー出てたっけかなー、って。

そのくらい思い切った観方をするとね、いやそれにしたってひどいのはひどいんだけどさ、なかなかできてるB級映画なんですよ。 タン・ロンだってそりゃブルース・リーに比べれば数段落ちますよ。 でも比べるのは酷だろうよって話で。 がんばってますよタン・ロン。 でも数旦落ちるんだよね。

ということで、どれだけブルース・リーを忘れられるかでこの2作品は楽しめるのではななかろうか、でありました。