家族ゲーム

沼田家では、次男の高校受験を控えて家中がピリピリしていた。
両親のはからいでやって来た家庭教師の吉本は、三流大学に7年も在籍している男。だが彼の一風変わった指導で茂之の成績は次第にアップして行く…。
8ミリ自主映画出身の森田芳光監督が、5作目でベストワンを獲得したシニカルでシュールなホームドラマの快作。

これ、ATG作品だったんですね。 何故か今まで観なかった1本。

もっとドタバタした内容かと思っていたんですけど、観なければダメですなぁ、全然違いましたです。 「ときめきに死す」に通じるシュールな静けさが底にあって、あっちとは違ってこっちはかなりブラックな感じなんです。 登場人物が軒並み謎めいちゃっており、由紀さおりですら腹に一物持ってて最後のほうでなんかとんでもないことをしちゃうんじゃないかって勘ぐってしまったりでしたよ。 だもんでラストシーンでは無駄にドキドキしてしまったり。

あとで知ったんですが、サウンドトラックもナレーションもないんですね。 最後は長回しだし、やっぱり確信犯的に楽しんで作っちゃってるんだろうなぁ、って雰囲気が、実は裏側にありそうな。 今まで観なかったのが惜しいです。 もっと若い時に観ておけば良かったのにねぇ。 宮川一朗太とかね、その実松田優作よりも怪演ですよ。

台詞もちょっと異様で気持ち悪いところが面白いです。

「こんなに固くちゃ ちゅーちゅーできないだろうが」
「ちゅーちゅー って」

この何の意味も為さない夫婦の会話にあたしゃ椅子からずり落ちましたよぅ。