ときめきに死す

謎の組織の指令を受けた寡黙な暗殺者・工藤(沢田研二)が、北海道にある海辺の別荘にやって来る。そこには、工藤の身の回りの世話を焼くために雇われた自称歌舞伎町の医者・大倉(杉浦直樹)がいた。黙々と体力作りのためのトレーニングに励む工藤。やがて組織からの指令で若いコンパニオン・梢(樋口可南子)が現れ、 3人の奇妙な共同生活が始まる。ある日大倉は、勢力を急速に伸ばしつつある新宗教の会長がこの町にやって来ることを知る。暗殺の瞬間が刻々と迫り…。

新興宗教がどうこうっていう内容とは別に、カルトな映画でしかもジュリー主演なんだよってんで教えてもらい、観たのがこれです。 っていうか、ジュリー主演の映画はカルトな風合いがありますよね。 太陽を盗んだ男もそうですし、このDVDの特典に収められている(予告編だけど)炎の肖像、リボルバーなんかも・・・ごめんなさいこの2つはまだ見ていない・・・一筋縄ではいかない空気にみちみちてます。 やるなぁジュリー。 じゅりぃぃぃぃぃぃぃー!!

「釣れた魚は気味が悪いでしょ」

・・・そういえばフィッシュマンズ、Sakanaとしてこの魚と、今日のエントリーは共通項があるよなぁ。 ってそれはさておいて、

すごく簡単に言うと、宗教の会長の暗殺に失敗しちゃう、っていう内容の映画であります。 展開という展開ではそれだけで、後はやたらと淡々としたもんですよ奥さん。

が、しかし、ただただ淡々としているだけじゃない、決して飽きずに観続けられるのがこの映画のすごいところで、淡々としているのは映像、ビジュアル的なところであり、一種独特な清楚な感じの映像が先ずは素晴らしいです。 そうだ、この映画って、あんまり人が出てきません。 ラストあたりでわんさと出るのですけれど、それまではまったく人気(ひとけ)が無いんです。 駅前もそうですし、その周りの道端にも。 ゴーストタウンなんじゃないかっていう。 そういうのが映像の清楚さにもリンクしているっぽいですね。

あ、あと。 これって真夏の話なのに、北海道が舞台だからなのか、涼しげなんです。 こう・・・地味ではないよ静かではあるが、といった感じ。

ジュリーの演技は、ちょっと心に響かなかったなぁ。 自称医師が人の中に割り込んでいく俗っぽいキャラクターなのへの対照としてジュリー演ずる殺し屋さんがなるべく人との関わり合いを持ちたくないキャラクターとして・・・あ、捉え方としては逆か・・・存在するんだとは思うんですけど、こう、抑えた感じっていうんですか?全くの無表情だったら兎も角、抑えた感じが似合わないのか、それともそういう演技が得意ではないのか、拍子抜けしちゃうんです。

それにしてもすごいのが序盤に出てきて速攻殺されちゃう「泳ぐ男」であります。 岸部一徳が演じるっていう事でプチタイガースなんですけど、いきなり泳いできて主人公にからみ、ウザいと殺されてしまうという、なんだかわかんないシーンなんだよなぁ。 これは必見です。

そうそう、更にすごいというかよくわかんないのが梢(樋口可南子)がやってきて外で食事をするシーンで、窓の向こうのビルの屋上で男二人が取っ組み合いの喧嘩をしてんですけど、あれはなんなの!? もう全然意味不明でおもしろすぎます。

これ、私は好きだなぁ。