エロスは甘き香り

【注意】成人映画です

監督、俳優として活躍した藤田敏八がメガホンを取り、『サヨナラCOLOR』の伊佐山ひろ子と桃井かおりが共演するエロスドラマ。若い男女4人が始めた密室での同棲生活、その彼らの鬱屈した心情と歪んだ青春を描く。“日活名作ロマンシリーズ”。R-18作品。

これが成人向け映画でなければ、と思ったんです。 あぁロマンポルノ。 どこにロマンがあるのかはわからないんですけど、取り敢えず藤田敏八監督作品だし、桃井かおり主演だしっていう事で見ましたです。 1973年の映画。

この時代のアンニュイさを記録しておこうという心理が全面的に押し出されているのか、それとも桃井かおりなんていうアンニュイを絵を書いたような女優、更には桃井かおりに追いつけ追い越せな伊佐山ひろ子が出演しているからなのか、全くお先真っ暗な映画になっております。 前バリして入浴なんていうのはかわいいほうで。

「大東京の片田舎」と劇中の台詞でもあるように、米軍ハウスのある街並み・・・福生でしょうか・・・が舞台。 それとたどたどしい(笑)桃井かおりのセリフ回しがあいまって、ちょっと非日常の空気がある場所が舞台。 棟番号が「P38」なのはワルサー(というかルパン)に引っ掛けているのかと思ってみていたら、後半になって漫画家志望の人の漫画の中でワルサーが出てきて納得。 こういうディテールが案外面白かったりだけど、伏線の張り方が多少マニアックで好き好き大好き。

内容は、だらだらと同棲生活になだれ込んだ♂2♀2があーだこーだ、っていうだけで、別段特筆する部分もありません。 ポルノなんでそういう場面がてんこ盛りで、がしかしこれが無いと全く成立しないのでもありまして、悩ましい。

しかしすごいのが豚のシーン。 主人公が真っ暗な中を斧で豚の首を落とすんですけど、そもそも(伏線はあるものの)必然性の感じられないシーンで、しかも豚がどう考えても本物だっていうところ。 まさかこの時代にしかもにっかつロマンポルノなんていう低予算映画で本物以外を使う事なんてないだろうし、遅回しにしているので首と離れた胴体の痙攣が気持ち悪い事この上なく、私は実際そういう場面をリアルで見たことがありませんので断言はできませんけれど、そういったわけで本物っぽい。 怖い位だし。

高橋長英が主演で山谷初男も出演している、と。 好きな人にはたまらん映画でありました。 あぁ成人映画でなければなぁ。