日暮らし

文庫版で上中下と3巻あり、昨日読了。

浅草の似顔絵扇子絵師が殺された。しかも素人とは思えない鮮やかな手口で。「探索事は井筒様のお役目でしょう」―。岡っ引きの政五郎の手下、おでこの悩み、植木職人佐吉夫婦の心、煮売屋のお徳の商売敵。本所深川のぼんくら同心・平四郎と超美形の甥っ子・弓之助が動き出す。著者渾身の時代ミステリー。 

佐吉が人を殺めた疑いを受け、自身番に身柄を囚われた。しかも殺した相手が実の母、あの葵だという。今頃になって、誰が佐吉に、十八年前の事件の真相を教えたりしたのだろう?真実を探し江戸を走り回る平四郎。「叔父上、わたしは、本当のことがわからないままになってしまうことが案じられるのです」。

「ねぇ叔父上、ここはひとつ、白紙に戻してみてはいかがでしょう」。元鉄瓶長屋差配人の久兵衛からもたらされた築地の大店。湊屋が長い間抱えてきた「ある事情」。葵を殺した本当の下手人は誰なのか。過去の嘘や隠し事のめくらましの中で、弓之助の推理が冴える。進化する“宮部ワールド”衝撃の結末へ。 

「ぼんくら」の続編でもあり(解説によると)完結編でもあるようなので、先に「ぼんくら」を読んだ方がよろしいかと思われますし、読まなければ細部がよく見通せないかも知れません。 登場人物はほぼ全員引き継がれており、新たな展開が用意されているんですから。 「ぼんくら」読んでいなければ面白さも1割しか感じられないかと思われます。

短編幾つかと本編とも言える長編1つで構成されているのは「ぼんくら」を踏襲しており、読むテンポが段々に整い心憎いのも同様。

ただ、クライマックスの圧巻は申し分無いのですけれども、案外途中で犯人が判っちゃったりとか、その人を犯人とした作者の意図のようなものが見えてこず、残念な部分もあるにはあります。 且つ、犯人に「仕立てられちゃった」人を「仕立てちゃった」人の心情も結局はわからず、話を立て返すと不透明なところがあるのもどうかとは思います。

でも、それらをさておいても面白い。 あっというまに読み通せますね、これ。