震える岩―霊験お初捕物控

ふつうの人間にはない不思議な力を持つ「姉妹屋」のお初。南町奉行の根岸肥前守に命じられた優男(やさおとこ)の古沢右京之介と、深川で騒ぎとなった「死人憑き」を調べ始める。謎を追うお初たちの前に100年前に起きた赤穂浪士討ち入りが……。「捕物帳」にニュー・ヒロイン誕生!人気作家が贈る時代ミステリーの傑作長編。

かまいたち」に収録されていた2編が独立し、新たなエピソードのもとに1つの長編になった。 それが「霊験お初捕物控」でありまして、2作品発表されているそうです。

宮部みゆきは短編だからおもしろいのだろうか...などと、やはりどうしても一番最初はあれこれと訝しんだりしてしまうところですけれども、そういうのを忘れて読み始めてみると、短編同様によいテンポで話が進みます。 さすがだなぁ。

そもそも「ふつうの人間にはない不思議な力」を持つなどという、時代物としては「らしくない」部類に入りそうな設定なので、そうじゃなくて純粋な時代物(これもおかしな物言いですが)を読みたいんだ!っていう向きには厳しいところはありましょうけれど、だからこそ大胆な筋書きが組めるのでありまして、それを読むのは、そのスリリングさを堪能するのは「醍醐味」であります。

今回も、通り一遍な赤穂事件の準えに留まらず、奔放に話が進み、最後にしっかりと締めてくれます。

ちなみに私、既に「耳袋」は揃えてあり、読み始めてもいるのですが、量が量なのと内容が内容なので全然進んでいません。 まままゆっくり読むとしても...。