80年代、サン・ラ・アーケストラは世界ツアーを活発に行い、1988年春からの全米、全欧ツアーを終え、7月30日に初来日、この時、サン・ラ74歳。「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」で神奈川読売ランド、富山、福岡、大阪万博記念公園を回り、途中、渋谷クアトロでの連日公演を挟み、ツアー最終8月8日が、この新宿ピットインでのクラブ出演だった。
この日本公演は、驚くほどサービス精神に溢れた演奏に終始したスタンダード曲含むビッグバンド・ジャズを披露。しかし、複雑なアレンジ、各プレイヤーの名人芸、テレパシーであるかのバンドの一体感が素晴らしく、"音の神話の科学者"たるサン・ラのサウンド・バイブレーションを通じミステリアスなスペース・ミュージックを魅せてくれた全盛期のような記念碑的ライブであった。
ライブ・アンダー・ザ・スカイのコミカルな儀式みたいなライブを二十歳前の少年に見せてはいけなかったかも知れない。 もうこれが基準になってしまって、音源はそれ以上のものを求めるようになってしまうのです。
だから正直言えば 1 曲目の出だしのインパクトに圧倒されるものの、その後はちょっと不思議なビッグバンド然としていて物足りない、と残念ながら思ってしまいました。 記録としては素晴らしいし、完全盤だというので敢えて買ったことを惜しいとは感じません。 サン・ラとしてはどうかというだけで、普通のライブ音源だとすると相当なもんなんですよ。
ですからサン・ラを聴いたことがないのであれば、これは後回しにして欲しい。 もっと聴くべき音源が「呆れるほどに」あるんですから。