赤坂檜町テキサスハウス(永六輔・大竹省二)

まだ焼け跡が残る時代、東京・檜町にテキサスハウスと呼ばれるアパートがあった。そこには写真家の大竹省二はじめ女優の草笛光子、ジャズ歌手の笈田敏夫など戦後の芸能史を飾った錚々たる顔ぶれが住んでいた。当時、放送界で仕事を始めたばかりでこのアパートに出入りしていたのが永六輔。いま、大竹省二の写真とともに、熱気に満ちた「夢多き時代」を振り返る。

東京の檜町というと檜町公園のあるあたり、檜町公園といえば長州毛利家下屋敷跡っていうか防衛庁があったところで防衛庁が移転した折には私は東京にはおらず、その後なにになったか気にもしていなかったんですけど、今調べてみたら東京ミッドタウンになっていたんですねここは。 と、それはさておいてテキサスハウス(花岡アパート)は東京ミッドタウンの北西にあったそうで、赤坂通りからみると乃木會館とかジャニーズ事務所の道挟んで向こうの路地のどん詰まりにあったのだそうで。

で、この本はそのテキサスハウスにまつわるいろんな話「だけ」を記している(トキワ荘を仮想敵にして話をすすめるという大変興味深いベクトルではありながら)ものかと思いきや、後半は大竹省二さんの若い頃(上海!)の話になったりと、ちょっとした看板に偽りあり状態なんではありますが、丁々発止がおもしろくてついつい読み進めてしまった次第。

本は最初、秋山庄太郎の死が述べられているんですけど、そもそもこの本は2006年の発売で、この後も続々と関係者が鬼籍に入り、永六輔も大竹省二も今やこの世のものではないという。