無頼漢

河竹黙阿弥の狂言「天衣粉上野初花」を題材にした、篠田正浩監督が贈る異色時代劇。仲代達矢、岩下志麻ほか出演。

天衣粉上野初花をちゃんと観たことがないんでアレですけど、脚本が寺山修司だからなのか、母親に掛かるシーンが目についたような。 世話焼きすぎる母親殺し(蘇生により未遂)のシーンなんてまさに寺山修司。 それとお面。 お面もなんとなく寺山修司というか天井桟敷をイメージさせるんだけど・・・。

ただ、それはそれで。

狂言が題材なんでセリフ回しも芝居がかってて、本来こういうの好きじゃない私でも楽しめました。 丹波哲郎も仲代達矢もかっこよかったし、岩下志麻はきれいだったし、小沢昭一は小沢昭一だったし、普通にまとまった映画だなぁって。

だけどどんな映画だったかって言われると・・・えーっと、これが「異色時代劇」かどうかはさておくも、あんまり印象に残らないんですよね。 音楽もよかったし美術も秀逸、話の筋は狂言だし、脚本は寺山修司。 そして監督は篠田正浩。 岩下志麻はきれいだったし(2回め)、文句のつけようがないんですけど、ただ、どうしようもなく白けた空気がここにはあって、物悲しくなってしまうんですよね。 それがもしかしたら印象を「残したくない」ように仕向けているのかも知れません。