1971 SUMMER (乱魔堂)

唯一のアルバム『乱魔堂』で、はっぴいえんどフォロワーの筆頭として知られるバンドだが、その真の姿「乱魔堂のもうひとつの顔」に迫ったと言えそうなライヴ・アルバム。DEWのアルバム『布谷文夫LIVE』同様、71年第3回全日本フォーク・ジャンボリーでのライヴを収録している。前のめりで情熱的なのに、どこか虚無的な表情の松吉久雄の歌声は四人囃子時代の森園勝敏の歌声と共通する響きを持っている。その歌声の魅力はやはりスタジオ盤よりもこのライヴ作の方がヴィヴィッドに伝わってくるようだ。

スタジオ録音盤のジャケットがこう、なんか普通な感じで、あと、はっぴぃえんど系っていうことで、だったらはっぴぃえんどを聴けばいいじゃんって思って、そんなこんなでずっとスルーしていたんですけど。 っていうか昔はバンド名は知っていても音源を聴くなんて事は無理でしたんで、致し方なかったですよね。 あれこれ言い訳をしていた、みたいな。 あ、これすごく昔の話でござい。

で、聴いてみると、スタジオ録音盤は、こう・・・軟弱な感じ?に聴けてしまう曲とかがあって正直ガッカリしてみたり、いやいやそうじゃない、なんか激しい曲もあるぞこれはいい!これはいいぜ!ってのもある。 ただ、総じて言えるのは、大人しめなんだよねって事。 それまでの(勝手な)印象を簡単に覆せはしたものの、もうちょっとなぁって気持ちがないではなかったんです。

でも、このライブ盤はすごい。

なんじゃこりゃ激しいなぁって。 ギターもなんか弾きまくっちゃって大変なんですけど、ボーカルがもう大変な事になってます。 レビューでは森園勝敏を引き合いに出してますけど、それはスタジオ盤の1曲目って感じがしまして、その1曲目「ちぇ!」は大瀧詠一も多少入ってて興味深いところですけど、このライブ盤は遠藤賢司が少しブレンドされているような。

って、誰々が入ってて、なんていう聴き方は無粋かも知れません。 そういうのは抜きにしてもこのライブ盤は聴き応えがあります。 少なくとも、はっぴぃえんどを引き合いに出すのは無理であります。 ハードなブルースがゴリゴリごー!でありますもの。