逆噴射家族

とにかくすごいテンションだってんで敬遠していたんだけど...

マイホームを購入した小林勝国(小林克也)、冴子(倍賞美津子)、正樹(有薗芳記)、エリカ(工藤夕貴)の一家のもとに、勝国の父・寿国(植木等)が遊び にくる。最初は歓迎していた勝国たちだが、寿国と同居するハメになったことから、一家が抱えていた小さな精神的葛藤が徐々に拡大して行く。

この画質だから余計に怖いんであって、リマスターとかして画質向上したのを観てみたとしたら印象が変わるのかも知れない。

じっくりと観てみると家族を病気だと考えている父こそが最初からおかしいのに気付く。 他の家族は表面的にはそりゃヘンだけど、父だけは内面的におかしいのがよく見えてくるんです。 対比してるから?

だもんで、後は「実は一番に病気だった」父の壊れる様と、それに引きずられていく家族の様を眺める感じとなります。 それにしても床に穴を空けて地下室を作る、という発案だけでもう完全にイっちゃってると思うんですよね。 あの時点がピークなんじゃないかって。 マイホームを手に入れた、というのと、そのマイホームの床に穴を空けるっていう真逆な対比が明らかになって、とても映画らしくなるんです。 だもんで、それ以降は前半のカタルシスっていうか、もっと言えばおまけみたいなもんで、マイホームが潰れる事自体もそんなに驚きではなくなってしまいます。

全体を通して狂気というモチーフがちりばめられていますけど、それらが昇華して純粋になる...というのは少々出来過ぎの脚本かも知れないなぁ。 でも映画だからいいのか、って。

有薗芳記の若い頃の姿が見られて嬉しいという、妙な見方も出来る映画でありました。