お江戸吉原ものしり帖

「27歳定年制」で吉原遊女はぴちぴちギャルばかり。「アンダーヘアを線香」で整え、「生理中は詰紙」をして仕事をこなし、「爪剥ぎ」「指切り」をしてでもご贔屓をつなぎとめる。これぞ遊女の心意気。飄客たるものの粋な作法から、伝説の人気花魁の号泣秘話まで。江戸文化の中心地、300年間公認の遊廓として栄えた吉原のすべてがわかる薀蓄満載本。 

時代物の小説を読んだり(ドラマや映画は適当なところがあるのでさておき)して当時の知識を得るだけだと足りないんじゃないか...と思うのはこういうウンチク本を読んで初めて知るのでありまして、そうじゃなければ案外に損をしている事実を当の本人(自分)が知らないというのは悲しい事なのかも知れません。

でもじゃぁ、どれを読めばいいのかってなると、それこそ「知らない」ですから知らないのでありまして、もう堂々巡り。 片っ端から読んでみれば良いというのでも...あるかも知れないけど、若いうちならいざ知らず、そうとも言えないところ。

これ、すごく勉強になる本。

ではありますが、私が「これは!」と思ったのは内容と申しますよりも、軽妙洒脱と思える註にあります。 例えば

床へ入ってからの肉体の緒運動が極めて精巧で、男を欣喜させる技術の所有者。

は何の註なのかと申しますと「床上手」のそれなんです。 床上手、の註を入れるっていうのも随分洒落ていますけれど、そこにこんな文を添えるなんて...一寸出来ないかも。

この註だけでこの本の評価が出来ちゃう、そんな本。 絵もふんだんにあり、コラムも充実。 一気に読み上げるというよりも、時間の空いた時に少しずつ読むのが吉。