デル株式会社

‘書籍’ カテゴリーのアーカイブ

幕末会津藩主・松平容保

2008 年 9 月 19 日 金曜日

松平容保は慶喜や春岳が放り出してしまった後も京都に残り治安を守ろうと尽力した。しかし、会津藩を最悪の悲劇から救うチャンスを逃がしてしまった。激動の時代の中枢を生き抜き、新撰組に活躍の場を与えた男の実像に迫る。 

幕末の会津藩主といえば松平容保で、京都守護職として新撰組なんかも使って...なんてところで、なんとなくは知っていたんですが、じゃぁそもそもなんで京都守護職になったのかとか、病弱そうだったけど何の病気だったのかとか、案外知らないところだらけではあるんですよね。

幕末物を読むとき、この人の詳しいところを知っておけばより一層楽しめるんじゃないかと思ってこれを読んだ次第です。

それにしても徳川慶喜への批判はどうだろう。 完全否定に近いものがあって、そら松平容保の本で、悲劇の主人公たらしめるためにはしょうがないことかも知れませんけれどもね、批判の仕方が生々しくて生々しくて。

でももう過去の事だしね(140年も前の話だし)、いいんじゃないかな〜。

使ってみたい武士の日本語

2008 年 9 月 18 日 木曜日

町人が「いっぺえやんねえ」なら、武士は「一つまいろう」と言った。平和が続き武士が「戦うもの」でなくなった江戸時代、武士を武士たらしめていたのは、身分社会の規則と武士の文化であり、その文化の中でも一番根底にあったのが、武家の言葉だ。
本書では193の言葉を選んで解説し、珠玉の時代小説からの使用例を紹介。山本周五郎が、池波正太郎が、藤沢周平が描いた武士の作法やしぐさ、剣の奥義、江戸の四季などが、味わい深い言葉とともに甦り、武士の心を今に伝える1冊。

序に、一寸前に「侍語ブーム」というものがあった事を知り、なんか全然そんなの縁がなかったし、無理矢理感が無くね?って思ったり。 というかブームなだけに今は下火なんだろうなぁ。

それはさておきこの蘊蓄本、暇つぶしに読むにはなかなかのもの。 純然たる「武士の日本語」じゃなくて、「時代小説で登場した古い日本語」という方が的を射ている風ではありまして、まぁまさか「茶屋酒」なんてなのが「使ってみたい」もんだとは到底思えず、使ったところで誰も反応してくれないところがほんとのところだろうだとは思いますけれども、そういう事でタイトルとか無視したところで気軽に読めばよろしいです。

本書では品格だなんだと書かれてますけど、武士なんて客観的に眺めてみれば、抑圧されて(その多数は)貧しく、屈折した武器所有者軍団ですからね。 武器所有も何も、外出する時は2つも持ってますしね。 野蛮ですよ、普通考えて。 野蛮っていうか乱暴っていうか。

そんなのをカモフラージュした江戸時代っていうのはすげぇもんだよなぁ、と思うところではありまして。

彰義隊遺聞

2008 年 9 月 9 日 火曜日

慶応四(1868)年、江戸無血開城と徳川慶喜の処遇に不満を抱く旧幕臣たちによって結成された彰義隊は、武力討伐を狙う大村益次郎の指揮下、官軍による一日足らずの上野総攻撃で壊滅させられた。彼らは、本当に「烏合の衆」だったのか?町に残る「伝説」から、4ヶ月で消えた幻の戦闘集団の実像に迫る。 

本文にも某作家の言葉として、半日かそこらで決着しちゃったので小説の題材にはなり辛いというような事が書かれてますけれども、なんだかよくわかんないけど集まって、その集まったのもよくわからん人たちで、あっというまに敗れ去ってしまった...という印象がとても強いんですよね、彰義隊。

でも、色々な資料を縦横無尽に駆使し、現代の我々にでも理解できるように整理・再構築がなされてます。

ネタとしてはどうしても地味になりがちなので、正直読んでて面白くないところもありました。 が、ネタとして抜群なのに全然面白くない本もありますから、それに比べれば雲泥の差。

ただどうだろう、上野周辺の地理をある程度知ってないと読んでもつまらないかも知れないです。 私自身は足立区生まれなんで幼少の頃はどこに行くっても伊勢崎線に乗ってだし、となると行くのは浅草か上野だし、大人になったらなったで団子坂を上ったあたりに勤務先があったり、そっから車で上野・御徒町あたりを通り過ぎて蔵前の方に行ってみたりだったんで、ある程度は知ってるつもりでした。

でも古地図1枚でノックアウト。 案外変わってしまうものなんだなぁ。

昭和―失われた風景・人情

2008 年 8 月 31 日 日曜日

大人も子供もみんな元気だったあの頃。街には匂いがあり温もりがあった。お化け煙突、伝書鳩、トロリーバス・・・ 記憶に残る懐かしい昭和の風景を訪ね歩く。

表紙の写真がモロにそれで、木造(というか木製と言いたい)の物干し台で「シェーッ!」をやる女の子二人。

そもそもは「荷風!」という雑誌の連載ルポをまとめたものなのだそうで、お化け煙突、伝書鳩、屋上遊園地、トキワ荘、丸の内ビルヂング、両国の花火大会、トロリーバス、西六郷少年少女合唱団、淀橋浄水場、駄菓子屋、下谷万年町、銀行の町・日本橋、玉川電車、木場・木材と川並、野球場、中央線の文士...なんていう内容。

その当時を現在ルポするっていうんだから、案外簡単なんじゃないかって思いました。 私も知ってるものがあったし、じゃぁ当時を知る人はまだまだ全然ごっちゃり居る筈だよね、って。

でもその当時、というのの幅が案外広かった。 全然広かった。 書籍名の「昭和」は、どちらかと言えば著者が昭和生まれなのでその目線で捉えた事柄の数々...というニュアンスなんじゃなかろうか。

少なくとも私よりも1世代以上は昔の事ばっかりなので、ルポして当時を知る人々の話を掲載出来たのは素晴らしいことなんじゃないかと思いますし、副題である「失われた風景・人情」が残念ながら(!)手に取るようにわかります。

でもそうなんだ、そういえばもう昭和じゃなくて平成、その平成だって20年も経ってるんだもん、それなりに昔の事なんだよねぇ、変わってしまっても当然だよそりゃ。


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東京スタジアムってぇと、南千住のここいらの道路標識に、右斜め前方向に「東京スタジアム」ではなかったろうけど、確か「球場」とかそんな事が書かれていたような記憶があるなぁ。

宣伝謀略ビラで読む、日中・太平洋戦争―空を舞う紙の爆弾「伝単」図録

2008 年 8 月 25 日 月曜日

精選した「伝単」約230枚(図版点数約380点)を時系列・戦線別で構成し、1点1点には歴史学者の詳細な解説・訳文を付けた、学習教材としても使える初めてのオールカラー伝単図鑑。

図録っていうのは高価なもんだがこれも多分に漏れずの感ありで、一体どういう人が買うんだろう...関係者はそうだろうけど、戦争マニアさん?伝単マニア?...と思いつつ最初から読んだのですけれども、これ、逆から読むのも戦後生まれとしては「アリ」なのかも。 あ、戦後生まれって事にしておいてください<私

それはともあれ満州事変の伝単で「日本軍は公明・仁愛・勇断を信条とすつものとして・・・宣伝を用いざるも・・・」という反アド的潔さを(伝単というか、このばあいは布告)明らかにしているも、すぐに普通に普通の使い方で伝単を使いまくっちゃってる(利用しまくりやがってる)なんていう豹変ぶりなのがすごい。

伝単の使い方はやはりアメリカ(連合軍)の方が効果的なのではないかと思いました(そうそう、あの「運賀無蔵」も収録されています!)が、その分逆に日本軍のそれの内容がどうしようもなく破滅に近づく雰囲気を醸し出しているのに気付かされます。 いや、それは単に日本が戦争に負けたという事実を踏まえている現在に見ているから故なのかもしれないけれども。

敗戦後に連合軍から出された伝単が、最初は「降伏」だったのに段々と「休戦」と変わっていく。 それだけ敗戦を認めず降伏に従わなかった日本兵の多さを物語ると本書では記されておりまして、戦中の伝単と戦後の伝単とは、似ていて全く異質のものであると露呈されます。

考えてみれば情報戦のはしり。 現代ではどう利用されているんだろう。 極限の戦地という状況では、逆に「紙の爆弾」も効果が高そうです。 でも願わくば、使われないに越したことはないと思うところ。