戒厳令
「2・26事件」の首謀者として処刑された異形の革命家・北一輝の実像を描いた吉田喜重監督作。昭和初期、北一輝が天王星を逆手にとって革命を起こす思想を記した書物は、若者たちに大きな影響を与えていた。そして北は軍部と接触を図って自宅に篭り…。
吉田喜重の映像は芸術そのもの。 アングルといい光の取り入れ方といい、映画は娯楽である面の他に、もっと重要な要素がそもそもに内在している事を気付かせてくれます。
「戒厳令」は二・二六事件での北一輝をモチーフとした作品で、全編モノクロのフィルムの中、重めの空気に満たされたところではありますが、何よりも三國連太郎の演技力、そしれ特筆すべきは松村康世の存在がほとんどオカルトの体を為しているところが注目に値します。
ただ、一柳慧の音楽の中で電子音楽だけが妙な雰囲気を放っており、これが作品と果たして通じているのかどうか、多少の疑問が残ります。 電子音楽を用いるのが悪いと言うのではありませんが、こういう風に使うものだろうか。 暴言覚悟で申し上げますならば、不要だった或いは別の楽曲にするべきだったのではないでしょうか。
それにしても映像の素晴らしさと三國連太郎、松村康世であります。




