父子鷹
(1)御家人勝家の養子小吉は豪放磊落な剣の達人。兄の奔走により御番入りが決まった日、同僚に無茶な接待を強要され、誤って殺害、生涯の無役となる。貧しいながらも面倒をみている町人たちから慕われ、温かい暮らしをおくるなか、ある日、長男麟太郎(のちの勝海舟)が犬に咬まれ重傷を負ってしまう。
(2)地借りしている岡野家が用人によって取潰しの危機にさらされる。隣家を救うために小吉は岡野の領地におもむき、法度を犯して金策のための大芝居を打つ。一方、剣術修行に励む麟太郎は成果を認められ、師の男谷精一郎の勧めで蘭学を学び始める。幕末の英雄、勝海舟とその父小吉の波瀾万丈な人生。
勝海舟(麟太郎)の父であった勝小吉の物語。 この「父子鷹」が勝小吉をメインとしているのに対し、続編「おとこ鷹」はその後、勝海舟がメインとの事。 取り敢えず「父子鷹」を読了しまして、はやく「おとこ鷹」が読みたい今日この頃です。
作者の子母沢寛は新撰組三部作で有名な方ですが、とくに有名な股旅ものはさておくと、いわゆる「勝親子」ものは文芸作品としてトップクラスだと断言できます。 ちなみに、最初に新撰組もの、そして股旅もので作家デビューという順番。
子母沢寛の文体は、現代からみると非常に独特で、江戸時代の言い回し...「の」を「が」とする(俺が妻、とか)、池波正太郎も時々もちいた...は置いといても、音引きの使い方がぞっとするほど粋で文体リズムを再構築しております。
まだ夜は明けない。靄が一ぱいで初夏の匂だけがその中からつーんと感じられる。
横書きだと効果が半減してしまうけれど、これが縦書きだときっちりとリズムがでて文章が新鮮になりかは不思議なものです。 無論それ以外にも江戸弁というのも重要ではありますが。
勝小吉が晩年に遺した「夢酔独言」をベースに書かれたこの作品ではありますが、どこからが子母沢寛の創作なのかわからない程にキャラクターは生き生きとし、江戸人情物語として特出した出来栄えであり、ちょっと比較対象が見渡せない位。 御旗本でありながら市井に生き、人情に生き、粋に生きる町の顔役的な主人公の生き方は、共感を覚えます。
まぁそれはいい。 今「父子鷹」を買いそろえるか、1巻を除いて揃えてある「勝海舟」全5巻を2巻目から見るか、それとも購入済)の単行文庫本2冊から読み始めるか、どちらにしても拙宅では子母沢寛ブームが再燃しておりまする。







