ウェブ進化論
インターネットが登場して10年。いま、IT関連コストの劇的な低下=「チープ革命」と検索技術の革新により、ネット社会が地殻変動を起こし、リアル世界との関係にも大きな変化が生じている。ネット参加者の急増とグーグルが牽引する検索技術の進化は、旧来の権威をつきくずし、「知」の秩序を再編成しつつある。そして、ネット上にたまった富の再分配による全く新しい経済圏も生まれてきている。このウェブ時代をどう生きるか。ブログ、ロングテール、Web2.0などの新現象を読み解きながら、大変化の本質をとらえ、変化に創造的・積極的に対処する知恵を説く、待望の書。
私はIT関連の人間じゃないので、この著者がどういう人なのか知らないし興味も無いが、書籍は非常に興味深い内容であったし、楽観的なそれである事を表明している為に、読者であるこちら側には大変な危機感が芽生えるという意味合いにおいても更に興味深い。
白痴的なこの楽観主義は、もしかしたら読者の中の大多数に安心を孕ませる効果があるのではないだろうか。 「IT分野の知的リーダーとして若い世代から圧倒的に支持を集め」ている著者の言葉である。 その発言は無論責任のあるものだし、その上での楽観である。
物事を進めるにはコストが掛かる。 本にもある通りに「チープ革命」(私自身はこの単語は知らなかった)が、ムーアの法則によるインフラのチープ化を踏まえて情報の流布に対してのそれをチープ化させる、というのは非常に的を射た現状確認だとは思うが、私はその次に露呈されそうになる事象について思いを巡らせてしまった。
物事を進めるにはコストが掛かる。 が、無料になる事は決して無い。 当然に限定された部分に於いては無料化されていると見受けられる事例があるかも知れないが、木を見て森を見ずよろしく、トータルで視れば無料ではない。 無料ブログに登録した時、ユーザはブログの登録しか無料で行えないという逆説的な本質の隠蔽について、気付かないものだ。
同じような事を我々は、情報発信のインターネット上における基地を持つ持たないに関わらず、例えばGoogleに対して気付かないか、或いは確信しながら行っている。 Googleは無料で様々なサービスを提供し、今やGoogle無しでは作業がスムーズに行えない場合がある程に、これらの恩恵を被っているのではあるが、Googleはボランティア団体ではない。 Googleは何もかも無料で社会貢献しているのではない。 Googleは営利団体であり、どこからか利益を得ている。 その矛先がユーザではないだけなのだ。
また、Googleを肥やす為に、我々は無料でGoogleに対して奉仕している、という構図が見えてくる。 例えば、Googleで検索順を上げる為、我々は何という労力を無料で奉仕しているのだろうか、と考えてしまう事がある。 その結果はユーザよりも更にGoogleに返ってくる。 更にはここにロングテール現象が重要なタームともなり...。
無料化であったりチープ化となった時、金の流れは鈍化するどころか、ドブのようになっているのではなかろうか。 流れは「無料」や「チープ」というお題目の蓋で覆われ、流れが見えない事は勿論、最早そこに流れている水の質はおろか、何が流れているかも見えなくなってしまっている。
別にそれがダメだと申し上げているのではない。 すごい経済システムが構築されたものだと感服しているのである。





- link -