連合赤軍とオウム—わが内なるアルカイダ
自己顕示欲が具現化された表紙は全く評価出来ませんが、内容は興味深い。
理想を掲げ、それを実現しようとした若者達が、なぜ殺人集団へと変容したのか? オウム真理教と連合赤軍を結ぶ線は? 連合赤軍、オウム真理教、アルカイダを結ぶ、田原総一郎70歳の点と線。10人の証言者との対談を収録。
連合赤軍、オウム真理教そしてアルカイダを、優秀な人材が何故あのようなテロ的行為に走らせたのかという見地から観るのはなかなかに難しいのですけれども、特別に無理矢理一直線上に並べるのではない、一種突き放したかのようなところから俯瞰するのはなかなかに出来ない事だと思います。 著者の幼少の頃、先の大戦が終わった時の気持ちを投射するのはあながち誤った出発点では無いでしょう。 また、連合赤軍とオウム真理教そしてアルカイダは、結果としてテロ的な行為を起こしましたが、経緯がそれぞれ全く違うところを読者自身がしっかり認識した上でこの書籍を読まないと、まるで著者任せな結論しか引き出せません。
そもそもに国内の事件を捉えれば連合赤軍とオウム真理教なのですけれども、比較対象ですら無い事は明らかです。 一方新左翼、他方は新興宗教ですから、もうこの時点でベクトルが違います。 また、起こした事件に関しては、オウム真理教が明白過ぎるほどのテロであるのに比べ、連合赤軍で先ず語られるのは残存者で行われた銃撃戦ではなく、その前の同志殺害(リンチ)事件であります。
がしかし、著者が提示するのはそういう結果ではなく、結果の寸前に発生した意識の変容であります。
何故、何故なのか、と。 何故若者が。 革命を目指す若者がリンチによる同志殺害を、少なくとも殺人を。 原理主義者がハイジャックした飛行機でビルへ。 他者の生を見つめた者がサリンを地下鉄に撒くのか。 彼らは同士を殺害する為に革命を起こそうとしたのではなく、ビルに飛行機で突っ込む為に原理主義者になったのでもなく、サリンを撒く為に宗教に走ったのではない。 では、
理想が殺意に変わる瞬間に、何が彼らに起きたのか
を著者は冒頭に問うてます。 そういう本なんです、これは。
ですから、その見地の上でこの書籍は充分過ぎるほどに成立しています。






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