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エロス+虐殺〈ロング・バージョン〉

delicious はてな この記事をクリップ! | 2005年12月04日20:44 | 編集

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36年間封印されていた幻のロング・バージョン!監督秘蔵の初号プリントから復元! 大正時代のアナーキスト大杉栄と伊藤野枝たちの自由恋愛と現代の若者たちを前衛的な手法で対比させた吉田喜重監督の記念碑的傑作『エロス+虐殺』は、1970年に、プライバシー侵害問題と興行上の理由から3時間46分のオリジナル版が2時間45分に短縮されて公開された。本ディスクは、長年のうちに欠損部分の生じたオリジナル版の初号プリントを基に、欠損箇所を現行版にあるシーンで可能な限り補った、オリジナル版に最も近い3時間36分の〈ロング・バージョン〉である。

 「エロス+虐殺」という作品については私は先ず、一柳慧さんが音楽を担当しつつも、幾つかの箇所でエイプリル・フールの演奏が収録されている点に於いて注目しておりました(資料)。 それ以外の部分については、断片的に情報を得たにせよ、さほどには注目もしなかったのは、DVD化されていないという事が大きく、さてDVD化の暁にはもう一寸...ストーリー的なところにも踏み込んで勉強してみよう...という程度であった訳です。

大杉栄の「日蔭茶屋事件」については勿論、その提唱されていた「自由恋愛」についても知らず、要はそっち方面もアナーキーだったのね、っていう感じで捉えておりまして、これは作品を観終わってからも特別に印象が変わる事も無く、それ故に「「エロス+虐殺」事件」については今に至っても特別の関心を払えない、というのが正直なところです。

それよりも、前衛的であったり難解であったという風評の如何を感じ取りたかったんです。



観終わって結果、前衛的ではあったけれども、難解では無いと評価しました。 兎も角長い、とても長かった、という一般的な感想が先に挙がります。 けれども、詰まらなくは無かった。 むしろ非常にとっつきやすい作品であったと確信すらする程。

全編を覆うハイキーな露出処理は白昼夢を予感させ、逆にそれが夜であったり雨のシーンで(意図的なのかはわかりませんが)バッチリのトーンとなって、美しさは無論の事、現実味を帯びるその不可思議さに驚かされます。 これがベースとなって、後は様々な手法を採った前衛的な映像作品として成立しております。

台詞は表面的に概念的であったり、当時の風俗的な言い回しなども見受けられ、興味深いところでして、全体を通して演劇的なスタンスであるのはご愛嬌なのか。 悪く言えば棒読みっぽくもあるのですけれども、映像技術の大胆さがそれを無理矢理に(気が付くと寝技を掛けられていた...という具合に)納得づくめするような面白さがあります。 原田大二郎さんの演技なんざ、60年代→70年代の丁度(それこそ)アナーキーだった時代の雰囲気を色濃く残し、「当時」というものを強く印象づけます。

突如カメラ目線になったり、という何とも言えないカメラに対しての姿勢。 奇声を発して走る(一寸アレな)原田大二郎さん。 大杉栄ってこういう人だたんだろうなと思わせるハマり具合が完璧な細川俊之(アモーレ)さん、そして只一人演技をしている風に見える楠侑子さんの素晴らしさ...。

イロモノではなく、しっかりと評価されるべき素晴らしい作品であります。


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