雨やどり
「たそがれ酒場」とどっちから先に読むかで意見が分かれるかと思いますが、意見なんか分かれないか、とか思いつつ、「雨やどり」のその後が「たそがれ酒場」なんで、両方とも読みましょうって話です。
舞台は新宿裏通りのバー街。「ルヰ」のバーテンダー仙田を主人公に、彼の前を通り過ぎて行く、いろいろな男と女の哀歓漂う人間模様を描き出す連作。直木賞受賞の表題作をはじめ、「おさせ伝説」「ふたり」「新宿の名人」など八篇を収録。
「たそがれ酒場」で還暦であった仙田さんは「雨やどり」では30代って事で、若々しいのかと思えばそんな事もなく、相変わらずうらぶれているって申しますか枯れているって申しますか、あんまり変わっていないのが何ともおかしい。
そもそもに仙田さん=半村良さんなのかと思いつつ読み進めていると、最後に収録されている「愚者の街」なる一話でその構造は一端ご破算になり、駒井なる小説家の登場でこれが半村良さんに投影される面白さがあります。 それ以外にも基本的にどの話も人情味溢れるところばかりで、とても面白く読めます。 なのに読了して何とも言えなく湧き上がるこの寂寥感は如何な物か。
それにしても「おさせ伝説」は秀逸の出来栄え。





- Amazon -