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たそがれ酒場

delicious はてな この記事をクリップ! | 2005年10月21日20:35 | 編集

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「俺にも神田の夜を賑やかにしてみせようという魂胆がある」—新宿、銀座と渡り歩いてきたバーテンダー・仙田は、神田の地に再びバー・ルヰを構え、最後の男の夢を賭ける。過去を背負った女たち、老やくざ、そして芸人たち。さまざまな人びとが交差する都会の夜を、小説の魔術師が小気味よく描く名品。

 確か、この作品を文庫版で買ったのは、それが発刊されてから間も無くだったような気がします。 中央公論社から1996年12月に出た文庫を、多分「今月の新刊」って、まさに画像の雰囲気のままに。 なのに、買った動機を覚えていないというのは不覚(覚えて不、なだけに)。

1996年と言えば、私は確かまだ東京に居た頃で、まさか生まれ住んだ東京を離れるだなんて思いもせず、のうのうと生きていた訳です。 確か...確か...(不覚)、まだ鬱病が再発していない頃の筈なので、夜な夜な呑みに行ったり家で呑んだりで、19:30以前以降で人格の変わるような厄介極まりない...と今だから思い起こせる感じの生活だったような気がします。

ですから恐らく、「たそがれ酒場」だなんて、何とも枯れた雰囲気の題名に惹かれて買ったのでしょうし、もしかしたら私自身が「枯れたかった」のか、はたまたこれに憧れていたのか。

私自身、プールバーではありますが酒場で働いていた経験があります(その実プールバー&ライブハウスであって、私はライブハウスの方の人間でありました)し、実際にカウンターの中に入って「自分の酒をシェイクした」事限りなく、それは無論営業中に然りでありますから、自然通常のバーテンダーなるものの「接待」というものをまざまざと見せつけられつつ、これぞ最上の営業研修なのだと痛感頻りであったのでもあります。



そもそもに、バーテンダーであったりホステスであったり、更に言えば客でさえも、夜の顔と昼の顔(この「昼の顔」っていう言い方が夜において爆笑のネタなのではありました)が面白いくらいに異なり、且つ「異ならせよう」という、その日常に於ける自己洗浄的な爆発の場であった事が、その後の彼らの行方に直接的に結びつく痛快さを、その成功や失敗に見せつけさせる点に於いて如実であった私の思い出に深い鬱の原因として残ってます。

あぁ、本当はやっぱり思い出したくないよ、っていうね。 そういうのって若者じゃない限りはあるじゃん? あ、ねーか? それは悪かった。 腹切って寝るね、ぐーぐー。

しかし、能動的な行為としての読書が、更なる「思い出して読み直す」とか、資料として手持ちにあるものを「読み直す」とかいう、基本的な能動性に反した読み方を自ら読者に指し示した時、その書物は読み手の主体性から軽やかに離れ、悩みや悲しみ等と言うマイナス傾向の精神状態、且つこれが一番あると思うんだけどルサンチマン的な深層心理の一番「痛い」ところを実は読者自らが掘り下げてしまう失態の一要因として事前性の優位なダウナー極まれない自己完結の帰結であったのではないかと思うんです。

要は簡単な話で、人、更に絞れば、男って、そういう「良く言えば」自己犠牲、悪く言えば「射精出来ないオナニー」みたいな事態に自分を落とし込む要因ってばさ持ち得ながら毎日を生きているよね。 変な話だけど私の本音を言えばさ、そうじゃないかな、って。 つか、そうだろ?

...なんていう自問自答を繰り返しながら、仙田さんを自分に投影しつつ、とどのつまりこれが小説で良かったな、って思うんです。


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