ワイルドバンチ
この余りに有名な映画を、どこから切り崩せば良いのかわからない。
ウォロン・グリーン原作の小説をサム・ペキンパー監督が映画化。メキシコを舞台に5人のならず者が、メキシコ政府軍に戦いを挑んでいく西部劇。幻の7分を加えた特別版。
サム・ペキンパー監督作品は、ことごとく「男の映画」です。 汗臭く、土臭く、埃っぽい。 ワイルドに酒(多分キツいバーボン)をガブー!って呑むシーン、しょうもない事でガハガハ笑いまくるシーン、どれもが「明日」というものを全く感じさせない寂しさとやり切れなさを表しているかのようです。
順当に行けばナイスガイ系の「レッツゴー」男William Holdenさんを評価するところなんでしょうけれども、私は何度観てもErnest Borgnineさんに目が行ってしまいます。 本来コメディアンっぽい笑顔が素敵なErnest Borgnineさん、この作品ではぞっとするような凄い笑顔。 この人だけかなりの狂気を持っているみたいで、笑い方が鬼気迫ってます。 最後の銃撃シーンでは発症しちゃったみたいで、すぐに死んじゃうんですけども観ている側としてはもう忘れられなくなっちゃう。 それがまたすごく格好良いんです。
また、この映画のすごいところは、出演者全員が悪者で、正義の人なんて全然出てこないんです。 悪者が悪者を追いかけて、追いかけられている悪者は別の悪者達と銃撃戦を演じる...という、悪夢のようなストーリー。 決まりきっている、決めきっている破滅への道に、まさしくそのレールを従順に辿る最後の4人に、どうしようもなく悲しい男の美学を感じます。 っていうか感じなかったらダメ!(おすぎ風に)
アクション映画として不朽の名作なんでありますが、アクション的要素として矢張り注目すべきはラストで執拗に使われるスローモーション。 撃たれて血が出たり、撃たれて引っ繰り返ったり、撃たれて高いところから落ちたりするシーンではかならずスローモーション。 スローになった瞬間、何もかもが判ってしまうような錯覚に囚われるのは、それだけこの手法が効果的だからなのでしょうか。 このラストだけでも観る価値があります。 でも...やっぱり全部観て欲しい!
個人的に一番好きなのは冒頭のシーン。 サソリを大量のアリでやっつけさせるという、何とも言えない残酷さ。 しかしこの映画の方向性を決定づけたのは、その直後の火のついた藁を上から落とすシーン。 大量のアリに襲われるサソリ、上からは火のついた藁。 ジリジリと上から燃やされ、身の回りに群がり襲うアリ。 どうしようもない悲哀からこの映画が始まるのです。






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