波のり舟の—佃島渡波風秘帖
出久根達郎さんの著作は、時代ものが面白い。 でも本屋になかなか無い。 ハードカバーに関しては近所の本屋では一切無く、文庫本も講談社のそれが数冊あるのみで、時代ものはその半分。
この「波のり舟の」は文藝春秋から発刊されているのですが、文庫本が出ているだなんて、今知りました。 しかもアマゾンのユーズドでは10円でして、本当にガッカリしてしまいます。
話は戻って、文庫本も色々な所から色々に出ているのであれば、本屋での私の気合いの入り方も変わります。 が、多分無いでしょ。 そう思うんです。 ...って腹積もりだったら、実際に無くても更に肩を落とさなくても済むのかな。
何を背負って渡しを渡るのか。佃島の船頭が見つめる謎、人情、怪異、恋…。鮮やかな江戸の四季の中に、渡し守探偵が颯爽と登場。江戸の風俗を詳細に描く、ペーソスあふれる異色捕物帳。
設定が面白い。 将軍家の蔵書の管理だったり、女の飛脚だったり、この作品であれば佃島の渡し守であります。 舩松町から佃島迄100mちょっと。 日が昇ってから暮れるまで2時間毎に舟を渡し。 行きと帰りとで都合2つの景色だけ。 そんな単調な日常を破る不思議な出来事。 そもそもが「異色捕物帖」とは少々違うと思うんですけど、前半は「奇譚」であり、その話の面白さに引き込まれる事請け合いです。 後半に向かって人情物の割合が増えていき、素朴な大団円(?)を迎えます。
粋で洒落っ気たっぷりの文体。




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