エレファント
この1時間半に満たない映画を私は、AppleのQuickTimeTrailerページで紹介された頃から何故か気になっておりました訳で、映画館では観ませんでしたけれども(近くで上映していなかった)、DVD出たら速攻で観てやる!と堅く心に誓ったものです。
米コロンバイン高校の銃撃事件を題材にして、ガス・ヴァン・サント監督がカンヌ国際映画祭でパルムドールと監督賞を受賞したセンセーショナルな一作。事件の当日、生と死の運命を分けることになる高校生たちの日常を追いかけながら、加害者2人が犯行に至るまでのドラマが進行していく。
コロンバインの事件は色々なところでネタにされており、食傷気味なのではないでしょうか。 しかしながらこの映画についてはツボを押さえた不思議なところでありまして、一見の価値はあります。 少なくとも駄作とは言えません。 ギリギリの線に居るのかも。 ですのでこれを評価して、良いとしても悪いとしても、それがそのまま観た本人に投影されるだけなのではないかと感じます。
生徒ごとに章立てされた構成。ユニークなのは、それぞれの生徒の後ろをついていくカメラワークだ。スムーズな映像の動きと、それぞれの視点で映し出される校内の風景を通して、各人物の個性や人間関係が浮かび上がってくる。極端なダイエットやいじめなどを描いた何気ない日常も、その後、血に染まる光景に化すと思いながら観ると、かなりスリリングだ。もっとも緊密感があるのは、加害者2人の部分。監督は、彼らの動機を明らかにするわけではなく、その行動を冷徹にとらえる。惨劇シーンは目を覆うばかりだが、映画全体は、リリカルな映像とクラシックの音楽の効用で心地よい空気に覆われ、映画初出演のキャストたちがみずみずしい存在感を放つ。不思議な後味を残す一作だ。
観終わってドンヨリしてしまうのは必至乍も、その映像の妙な浮遊感は特筆せざるを得ません。 1つの「光景」を、そこに居合わせた人数分だけ、それぞれの後ろから冷静に見つめ続けるあのカメラは、その何気ない「光景」にその倍数だけ厚みを持たせる事に成功してます。 絶句してしまう程の効果が、静かに展開され、狂気が膨らみ続けるのです。
納得行くまで何度も観なければ済まされない映画だと言えましょう。 必見。




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