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田園に死す

delicious はてな この記事をクリップ! | 2004年05月16日13:27 | 編集

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これまで私は敢えて寺山修司さんの作品を観ないで済ませようとしてきました。 全く観なかったのではないのですが、腰を据えておらなかったのであります。 また、食わず嫌いな部分が在った事も否めません。 寺山ワールドというのは、限られた方々のなかでは独特の輝きを持つ事実を私は知っております。 けれども、そうなると安易に影響されまくり、出されたものが「あぁ、寺山ワールドっぽい...」なんて感想を持たれてお仕舞い、なんてオチに行き着きそうで、その危険性が非常に大きいので怖かったんです。

映画とは関係無いですけれども、天井桟敷の市外劇「ノック」の詳細を知りたいとは思い続けてきました。 定本なりなんなりあるのでしょうか...。

それはさておきそんな事を考えながら、出来るだけ寺山修司というブランドを迂回してこれまで生活してきましたけれども、そろそろ年貢の納め時とでも申しましょうか、迂回している積もりがどんどん近づいている、実は迂回しているのではなく、そのスピードは極めてゆるやかなれども、決して直線的はないにしろ、近づいていたようなんです。 で、やっとこさ真剣に観てみたのであります。

映画監督の"私"は少年時代の自分を元に映画を作ろうと考えた。恐山近くの山に住み、西洋風の隣家に住む美しい人妻に憧れ、都会へ出て行くことを夢見た少年時代の記憶が蘇る...。

この決心が揺るぎないものとなったのは、先週のチャットでありました。 その中で丁度寺山修司さんの話になり、どれから先ず観るべきかという話になりました。 別段どれでもいいや(どうせ観ないし)なんて思っていた私なのでしたけれども、そういう思ったか思わないかのうちに満場一致で「田園に死す」となりました。 笑ってしまう位に速攻でした。

よく聞かれる寺山さんと母親との関係、そしてそれを作品化する意図というものが、もしかしたら私がこれまでに忌み嫌ってきた最大の理由だったのかも知れません。 多分そうだったのだと思っていますが、観終わったらそんな事はどうでも良くなってしまいました。 そこまでして忌み嫌う程のものではなく、それ程感情的なものでもなく、単なる作品中のモチーフとして浮遊しているに過ぎませんでした。

となると途端に開眼してもうた私です。 もう、何もかもが不思議に不気味であります。 ノーマルは、アブノーマルの中にあってはアブノーマルの1形態でしかなく、その場合に於いてはアブノーマルこそが数の理論でノーマル「化」されているのであります。 決して諦観されるべき状況ではないこのアバンギャルドは、単純に楽しめば良いのです。 理屈は後でつけるも良し、つけなくとも良しです。 しかしながら言えるのは、一度は観とけ、という事。

ラストシーンのあの衝撃は、実に芝居と申しますか「劇」的でありまして、この映画がオリジナルかどうかは知りませんけれども、コピーというか影響されたシーンを何度も観た事があります。 ので、初めて観た衝撃というよりも、これが元ネタなのかという衝撃が強かったです。

三上寛さんのインパクトが何とも言えず格好良かったです。 そして原田芳雄さんは相変わらず原田芳雄さんだったという。




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