Zania Lehmanni
初期SPKはその攻撃的なアプローチからノイズの中心的な存在だとされておりましたが、1984年リリースの「Machine Age Voodoo」にてやれ商業主義だの(今思えば)日和見主義だの散々に叩かれました。 「大胆な方向転換」と評する人も居て、詰まりは転向したと言いたいのか?と私等は思ったものですけれども、後から聴くとボディー・ミュージックの走りだったりです。 いや、一寸苦しいか(笑)。
この「Zania Lehmanni」は「Machine Age Voodoo」(或いは「Metal Dance」)よりも前の作品だとばかり勘違いしていた私であります。 その位初期っぽい雰囲気があります。 「Metal Dance」を折り返し地点にして回帰したのでしょうか。 方向性は勿論若干の違い事あれ、彼らの美的センスが窺えるというものです。 アマゾンのカスタマーレビューに「二ールヒルへのレクイエムのように聴こえる」という一文があって、そういう観方も出来るのかと思いました。 賛同したいです。
あ、初期SPKはノイズですよ。
さて、「Zania Lehmanni」についてペヨトル工房から1987年に発刊された銀星倶楽部の6号「ノイズ」を紐解きますと以下の様に記されてます。
... ヘレニズム文化(ギリシャ)、セム文化(ユダヤ)、アラビヤ文化(ペルシャ)のハイブリッド・カルチャー、あるいは中部ヨーロッパ文化の起源としてのビザンチン文化に関心を移行し、オリエントへ向けての発振を開始した。
えっと、何書いてあんだかわっかりません(滅)。 私の一番苦手とするジャンルであります。 が、ここで聴かれるのは紛れも無いオリエント指向でありまして、オリジナルのオリエンタルな音楽のその要素が含まれているかは不明ではありますけれども、密教的な雰囲気が汲み取れます(オリエンタルという位だから西方アジアも含まれるのであって、密教的要素が含まれていてもおかしくは無いのか)。 広範囲で示される閉鎖性とでも申しましょうか、スケールが大きいのにベクトルが外に向かわないという、現在がその存在を底辺として持つ事実を認識し肯定しつつも、それに至った(範囲が広がった)過程を認識しない矛盾性が改めて自己(「Zania Lehmanni」)の存在を確固たるものにしております。
...何書いてんだ?
SPK(或いは中心人物のGraeme Revell)がその音楽的キャリアを、ノイズを経てこのオリエンタル指向に結実した事を私は非常に高く評価もし、この作品を皆様にオススメするんでありますけれども、アマゾンで在庫切れっていうのが泣かせますですね〜(笑)。 兎に角ノイズではありませんので変に先入観とか持たずにお聴き戴きたいです。 民族音楽に興味のある方にはうってつけかも知れません。 試聴も出来ますしね。 是非どうぞ。 SPKのベストバイ的な作品であります。
今現在SPKの作品でCD化され売られているものがどれだかは調べていないので不明ですが、恐らく一番詳しいサイト「SPK = Information Overload Site」を見ると
・Information Overload Unit
・Leichenschrei
・Auto Da Fé
・Zamia Lehmanni
・Gold And Poison
・Oceania
これらがCD化されているようです。 アマゾンで品切れでもAmazonで売られておりますので興味のある方は是非どうぞ。 但しラストアルバムでライブ盤の「Oceania」だけは売られていないみたいです。 これ、先に書きました「Machine Age Voodoo」以後の集大成的な作品でありまして、確かに初期SPKの凶暴性を基準にしてみると商業主義だの日和見主義だの言われても仕方ありません。 でも、結構良いと私は思いますよ。 全然評価されないっていうか、検索しても全然ヒットしないのがもう悲しくて悲しくてしょーがありません。 こういうのはみんなダメなのか?(って訊いてみる)
「Leichenschrei」は2ndであります。 まだまだ凶暴なんですけど、凶暴つったって野生的なそれでは無く、インテリゲンチャな凶暴性とでも申しましょうか。 聴く事で精神戦を強いられます。 音楽面を捉えても興味深く、パーカッション特にメタルパーカッションのリズム感が素晴らしく、所謂「ノイズ的アプローチ」はおまけ程度でしかないのに気付かれるかと思われます(その「おかず」の質と量が大変な事になっているのはこの際無視)。 あ、そうそう。 中のスリーブがグロ度満点なので、そこでダメ出しが出るかも。 そういう場合はさっさとエンコードしちゃいましょう(笑)。
そしてこれより更に(悲しむ事に)「分かりやすく」、(悲しむ事に)「キャッチーな」のが初期...初期というのを「Metal Dance」で区切るとするならば...のシングルコンピレーションでありますところの「Auto Da Fé」です。 ここで注目したいのが1stアルバム以前の超初期の楽曲(M5まで)であります。 何とも言えないユーモラスなパンクだったりで、一寸心和んじゃいます(笑)。 しかしながらその中でも「Slogun」は本当に素晴らしい曲で、曲と書いてしまうと一般的にみて語弊があるかも知れないながらも、
s.p.k. s.p.k. s.p.k. s.p.k. ok.
kill kill kill for inner peace
bomb bomb bomb for mental health
therapy through violence
working circle explosives
こんな不穏な歌詞で(笑)、グループ名の由来となり西ドイツに実在した「社会主義患者集団(Sozialistische Patienten Kollektive)」が、その影響を受けたBaader Meinhofに倣って打ち出したスローガンなのだそうです。 社会主義患者集団は病院内で爆弾を製造中に自爆して跡形も無くなったそうですが、こんなアグレッシブな集団の名前を由来としているSPK、もしかしたら「Metal Dance」時に改名した方が良かったのかも知れません。 どちらかと言えばSPK自体は相棒で自殺したニール・ヒル(Neal Hill? // NE/H/IL)のものというかイメージが強く、彼の自殺と音楽の方向性の決定的転向は強くリンクされていますので、ニールの為にも改名するべきだったかも。
ところでそのSPKの中心的人物でありますところのGraeme Revellさん、SPK後は映画音楽をなさっている旨の噂を耳にしておりました。 そこでアマゾンで調べてみると...あの「フレディ vs ジェイソン」のサントラを手掛けていたそうな。 う〜む(笑)。
参考文献
・銀星倶楽部06「ノイズ」(ペヨトル工房)
・銀星倶楽部14「オルタネイティヴ・ミュージック」(ペヨトル工房)
・RE/SEARCH #6/7 "INDUSTRIAL CULTURE HANDBOOK" (RE/SEARCH)
余談:次のSTUDIO VOICEはノイズ(インダストリアル)特集なんだそう。





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